大腸マンとの思い出
皆さんご存知ですか？昨日である3月12日という日がどういった日であるのかということを。
そうです。昨日は私の誕生日。俗に言うハッピーバースデーという日です。だからといって何というわけではありませんが、私としては誰からも祝ってもらいたいわけです。
いいですか？昨日に私は一つ齢を重ねました。つまりは膨大な世界の中で一つ小さな歯車が回ったと言っても過言ではない。
小さな歯車が回ったとなるとその他の歯車も回らざるを得ない状況に陥るわけで、言わば、昨日に私が一つ齢を重ねたということで人類の歴史が一つ大きく動いたとも捉えられるのです。
こうも日記に祝ってくれ祝ってくれと書き殴っているわけですが、別に周りから祝福を受けていないから僻んでいるわけではありません。かといって本当に僻んでいるから強がりとして僻んでいるわけではないと言っているわけでもない。誕生日として嬉しい出来事も幾つもありました。
きっと皆さんはこの日記を読んで昨日の私にどういった出来事が起こったのか読んだら僻んでしまって祝う気も失せてしまうでしょう。
しかし私はそこを読んでいるわけですから、あえて昨日の出来事は後ほどに記述するとして、皆さんからの祝辞を先にお待ちしたいと思います。
うん、聞こえます。聞こえますよ。閲覧者の皆さんが私の誕生日を祝うために画面の向こうから柏手を何度も打っている音が聞こえます。おめでとうございます！おめでとうございます！そこら中で歓声が上がっているのも目に浮かびます。何ならアパートの隣室からも聞こえてきているような気がします。
表を見れば色々な方々が私の家へと両手を上げながら向かってきているのが見えます。横断幕まで用意してもらって恐れ多いくらいです。泣いている方も散見できますね。無機物もアニメーションよろしく元気に揺れて踊っているようにも見えます。
ハッピバースデートゥーユー
ハッピバースデートゥーユー
ハッピバースデー、ディア、定次さーん
ハッピバースデートゥーユー
おめでとうございます！おめでとうございます！バルコニーに次々と投げ込まれるプレゼントが玉入れのごとく積み重なっていきます。積み上がりすぎてもう先に投げられたプレゼントなんかは押し潰されてしまっているようにも見受けられます。
あぁそんなことで喧嘩をしないでください。潰れたプレゼントもちゃんと処分しておきますので。
インターホンは鳴らさないでください。直接ドアを叩くのもやめてください。ソーシャルディスタンスのこのご時世ですから、直接の受け取りは承っていないんです。
外から怒号が聞こえてきます。祝ってあげているのに受け取らないなんて何様だと。
ごめんなさい。私はそういった上からの言葉苦手なんです。怖いですからプレゼントだけ置いてさっさと帰ってください。皆さんの気持ちはよくわかりましたから。
あぁ、バルコニーのガラスが圧力で割れてしまった。皆さんもどんどんと壁を伝って上ってくる。やめてください。やめてください。私はそんなつもりで祝ってもらおうとしたわけではないんです。ささやかに祝ってもらえればそれで良かったんです。だめだ、押しつぶされる。肉が剥がされていく……もう日記を書くための指先しか残っていない……。
せめてこの指先だけ残れば、隠れてやり過ごすことができれば後から脳みそをバックアップから取ってああああ