ちょっとしたダイアリー『座椅子が壊れたので』


おはよう、皆の衆。定次さんです。
人間誰しも家の中では寛いで過ごしたいもの。
いくら日本人がせかせかと働くばかりの人種だと言っても、年がら年中、四六時中を全力で走り続けることはできません。
それは人間に限らず、どんな生き物であっても一緒。
スタミナの化け物と称えられたことがない私でさえも家でテレビを見るときくらいは椅子に腰掛けて過ごしたいと考えております。
こんな言い回しをしてしまっては私自身普段から立ちっぱなしで過ごしているように捉えられかねませんが、その時くらいは座りたい――というのは語弊です。正しくはテレビの前では座っていたいというところでしょうか。
まぁ何にせよ、普段からリビングでYoutubeを見る時などはこたつに入りながら座椅子にもたれかかって過ごしているわけですが、最近私はそんな愛用している座椅子をぶち壊してしまいまして――。
『ぶち壊して』なんて物騒な言葉を使っては私自身癇癪を起こして怒りのままに物へと八つ当たりをしているようにも捉えられかねませんが、私は温厚な人間であって、決してそんなことはいたしません。
ぶち壊したというのはあくまで恣意的なものではなく、座椅子の耐久が限界に達してしまったから。
いつも通りもたれかかろうとすると背もたれ部分が力なく倒れてしまうようになってしまった――ということを今回お話させていただきたかったのです。
どうして私の使う座椅子はこんなにも貧弱なものばかりなのでしょう。
こうして壊れてしまうのもかれこれ3台目。
5年で3台も壊れるとなると、世界的な陰謀から不良品を掴まされているようにも思えてしまいます。
私自身の体格が大きい――という点も要因の一つとして考えられなくもないのですが、人間が作り出した商品は人間が使用する上で恒久的に安全を確保して当然。
100年だとか1000年だとか――流石にそこまで使用すれば経年劣化で壊れてしまうのも考えられなくもないですが、1年足らずで壊れてしまうのは流石に人類の叡智というには程遠いでしょう。
形あるものはいずれ壊れる――とはよく言ったものですが、いくら何でも早すぎる。
いずれという言葉が一体どれくらいの期間を指しているのかは定かではありませんが、どうせならばもっと具体的な期間を示してもらいたいと常々考えてしまいます。
よくニュースで取り上げられているかとは思いますが、どこかしらの遺跡みたいなところの土を掘ったら紀元前だか何だかの昔の物品が出てきたという話なんかとよく耳にしたことがあると思います。
あれらは長い時間を経ているにも関わらず、形として残っている――。
それらが一体どんな用途として当時使われていたのかは今でこそ知る術がありませんが、僅かな期間で壊れてしまった私の座椅子にはそんな過去から出土する遺物を見習ってほしいと常々考えております。
背もたれがなければそれは座椅子として意味をなしません。それはただ場所を取るだけの歪なクッションです。
そんなものが部屋に置かれるのであれば、最初から座布団を敷いていた方が良かった――。
座椅子が壊れてしまったため、最近は座椅子の上に敷いていた低反発のクッションを座布団代わりにして過ごしていたのですが、どうもこれでは満足に寛ぐことができません。
現代病の一つでしょうか。やがて姿勢を崩すようになり、最終的には寝転がりながらテレビを眺めるといった堕落を体現するのです。
私はそんな生活に辟易してか、最近新たにネットで座椅子を注文しました。
ほどほどの大きさで邪魔にならず、座椅子特有のアンバランスな形をなしておらず、それでいて高すぎない価格で座りやすそうな座椅子を見つけ出したのです。
私が住む地域は北海道。
インターネットで注文をすると発送してから届くまでに結構なタイムラグが発生します。
普段から使用する消耗品や日用品、娯楽品の発売日なんかもそう。
本州で漫画の新刊が発売されたと言っても実際に店頭に並び始めるのは2〜4日後で、いつも発売日までもどかしい気持ちを抱きながら過ごしています。
そして今回の注文もそうでした。
注文を確定する前に到着日の指定ができたのですが、最短でも日曜日着。
それまでの間、ずっと背もたれのない生活が続くのかと呆れたものでしたが、文字通り背に腹は代えられません。
私は大人しく座布団の上に頭を乗せ、人としての堕落を体現しながら数日間を待つこととしたのでした。
――しかしどういうことか本日その座椅子が我が家に到着。
日中、仕事をしている最中に宅配業者から連絡が来た時は首を傾げたものでした。
もしかしたら留守中の窃盗を狙った怪しい電話なのではないか――とも疑ったものでしたが、家に帰るとすぐにその大きな荷物は届きました。
無事に受け取ることさえできれば荷物の到着は早いことに越したことはありません。
宅配員のお兄さんが玄関から離れたのを確認してからゆっくりと鍵を閉め、クリスマスプレゼントをもらった時の子どもよろしく、その大きな段ボールを勢い良く開けたのでした。
先程にも話したように、私はあまり簡素な座椅子は好んでおりません。
ただただ"くの字"に曲げただけのフレームにクッション性があるだけの粗末なつくりは、見ていてアンバランスで景観に乏しい。
今回購入した座椅子は背もたれは短いものの、肘掛けもあって座り心地が実に良さそう。
開封したばかりなのでまだ然程座ったためしはないのですが、座った時の安定感がこれまでのものとは段違いであると確信します。
ようやく手に入ったまともな座椅子。
きっと今回は世界を牛耳る闇の組織の目を掻い潜ったルートで手に入れたものでしょう。
これまでのような不良品とはきっと違う……そんな感じがひしひしと伝わります。
さぁこれからはこの新しい座椅子で目一杯寛ぐことができる。
商品リンクを貼っておくので、皆さんも同じものを購入して私とお揃いを狙いましょう。