【ブリブリ】人知れずうんこを出したいジレンマ


おはよう、皆の衆。定次さんです。
現在時刻は16時半を過ぎたところ。
世間ではそろそろ夕食の支度を始めようかと重い腰を持ち上げているであろう時間帯ですが、休日だからと怠惰な時間を過ごしていた私はようやく昼食を食べ終えたところでございます。
日当たり良く、涼しい風が通り抜ける晴れた週末の片割れ――。
こんな休日の昼食には、適当に炊いた白飯とスーパーで購入した安価なレトルトカレーで済ますのが一番です。
付け合せには好みで飲んでいるアイスコーヒー。
先日購入した可愛いパッケージのワンカップ酒の容器をコップにし、冷凍庫から雑に氷を放り込んで、これまた先日スーパーで購入した安価なパックコーヒーを注ぎ込みます。
傍から見れば完璧な休日の過ごし方のようにも見えますが、ただ一つ落ち度があるというのであれば、パックコーヒーがブラックではないことでしょうか。
私は日頃からブラックコーヒーを飲んでいますが、今回は誤って『甘さ控えめ』のコーヒーを購入してしまいました。
いつも購入しているコーヒーが売ってなかったからと、安価で売られていた商品を咄嗟にかごに入れてしまったのが失敗でした。
完全に私の確認不足……と、自分自身の落ち度を認めておきたいのは山々ですが、思い返せば冷蔵棚に貼られていた値札が『無糖』と『甘さ控えめ』が逆であったことが問題だったのではないかと考えられます。
過失割合で言えば0:10くらいでしょうか。
私がこうして間違えて甘めのコーヒーを飲んでいるにもかかわらず、ディスプレイの向こう側からその様を指を咥えて見ているだけの皆さんに大きな過失があると思われます。
皆さんの過失割合0。ポップを間違えたスーパーの過失割合が10。私は当事者としてありながら――自分自身の居場所を探し求めてながら文章を書き綴っております、今回の記事でございます。
――さて、何だかんだ文句を垂れつつも、コーヒーとカレーの組み合わせはあながち悪くはないものです。
そのコーヒーが多少ばかり甘かろうが甘くなかろうが、喉越しの悪いミルクが入っていない以上、飲料としての口腔ケアの役割を十二分に果たしていると言えるでしょう。
今現在、私はコーヒーを飲み終え、口の中は甘ったるいコーヒーの香りで満たされております。
コーヒーという存在を知らない人に対して今この瞬間、私の口の中のにおいを嗅がせようと顔の近くで吐息を吐こうものならば、きっと怪訝な顔をして私の顔を押しのけて近くにいる誰かに助けを求めようと脱兎のごとく逃げ出すだろうとは思われますが、如何せん今現在の私は一人寂しく自室内でパソコンに向かってひたすらにキーボードを叩いているだけなので、顔も知らない他人に怪訝な顔を向けられる心配はないと思われます。
ひとまずのところ、今回は昼食にカレーを食べた――という事実とは全く脈絡もなく、大便をトイレで放り出す際の心理について書き殴っていきたいかと思いますので、閲覧者の皆さんには今しばらく私の冗長にお付き合いいただけたらと思います。
おっさんのトイレ
便所の話をする前に、まずは違うベクトルの便所の話をしていきましょう。
先日、私はコンビニに立ち寄った際にトイレを借りようとしました。
しかしながらトイレには既に先客がいたようで、私はやむなくその人が出てくるのを『さり気なくトイレ待ちをしていると認識できる位置』で待っていました。
さりげない位置――というのは、厳密に言えば窓際に並べられた雑誌コーナーの……トイレ側から3歩ほど離れたくらいの場所でしょうか。
露骨にトイレのドアの前で待っていようものなら、先客がトイレから出てきた瞬間にどことなく気まずい空気になりますし、トイレ待ちをしている間も私自身"その瞬間のコンビニ内カースト"の最底辺の存在として冷ややかな視線を傍から浴びてしまう恐れがあるので、最低限の体裁を保つためには程よい位置でトイレ待ちをするのがベストであると考えます。
少しばかり話がそれてしまいましたが、当時の私は割と余裕を持った状態でトイレ待ちをしていました。
さり気なく催してきた――そんな段階で尿意を振り払っておこうと、雑誌コーナーに体を向けながら横目でチラチラと扉が開くのを待っていました。
間もなくして中からガタガタと物音がし始めて施錠中の赤いサインが青へと変わります。
中から出てきた人は――カッターにネクタイ姿、頭髪は若干薄めで、少しばかりくたびれた様子の比較的小柄なおっさんでした。
トイレは人を選べない――と、よく耳にしたことがあると言う人に出くわした経験をこれまでしたことがないのですが、実際問題トイレは人を選べないのは確かな話。
どんな人がトイレから出てきたとしても、不可逆的な便意に抗おうとすることは人間としての尊厳を天秤にかけることと同意義であって、生物として非常に愚かな行為であると言えるでしょう。
私はおっさんが座ったトイレに座ることを刹那的に躊躇しましたが、ここでトイレに入らないという選択肢はないという決断を三日三晩に渡る脳内会議で後日閣議決定する前提としてトイレへと足を踏み入れました。
――ただ、さり気ない立ち位置で私がトイレ待ちをしていたと気が付かなかったおっさんが閉めたその扉の向こうには、思いも寄らない空間が広がっていたのです。
待ち時間から鑑みて、おっさんは明らかに糞便を垂れていたでしょう。
しかしトイレの中はどういうわけかとてもおっさんが入った後とは到底思えないような甘い空気に満たされており、穢れの気配がまるで感じられませんでした。
本来ならば備え付けの除菌剤で便座を拭いてからゆっくりと座るのですが、これなら別段便座を介しておっさんのお尻に間接キスをしても構わないかも知れない……と思いながら、私は便座を綺麗に丁寧に拭き取ってからゆっくりと便座に腰掛けたのでした。
――便座に座ってからふと目に入ったウォシュレットのリモコン。
今回私は小便をするためにコンビニのトイレを借りて座りながら用を足したのですが、その時視界に入ってきたリモコンの表示画面には水勢が最小に設定されていました。
必ずしもおっさんがウォシュレット肯定派であるとは限りませんし、おっさんが肛門を患っていた可能性もありえなくもないのですが、仮におっさんがウォシュレットをこの水勢で使用していたというのであれば、あのおっさんはどれだけおしとやかな便をしていたのだろうと――その瞬間、思わず戦慄が走りました。
丁寧に三角に折りたたまれたトイレットペーパー。
消臭スプレーも置かれていないのに臭くもないトイレ。
そして妙に体裁がよく見える最小限の水勢設定。
私はあのおっさんがおっさんの見た目をしただけの綺麗な女性だったのではないかと考えます。
立てば芍薬、座れば牡丹、糞を放り出す百合の花。
私はいい出会いをした――そんなことを微塵も思いもせず、私は適当に買い物を済ませてコンビニを後にしたのでした。

人はなぜ排便音を隠したいか?
力いっぱい踏ん張ると、思い切りケツから弾けるブリブリ音。
――人はなぜうんこが出る時の音を気にするのか?
生理現象を恥だと思うのは、人間のエゴが生み出した後天的な思想です。
今回はうんこをする際の排便音を例に挙げて話を進めていきますが、いつから人はこの排便音を気にするようになったのでしょうか。
中学生時代、私は『うんこ大王』というあだ名で呼ばれた時期がありました。
学校のトイレの個室を使うことに抵抗が生まれがちな子供時代……私は学校の便所で糞便を放り出すことを厭わず、なりふり構わず個室に入っては糞を放り出し、『うんこ大王』と呼ばれることに誇りを持っていました。
やがてそのあだ名は『うんこ大魔王』へと昇華し、私がトイレへと入る際には簡単な花道が出来上がるくらいに一大イベントへと変わっていました。
かつてうんこ大魔王として名を馳せていたそんな私も、社会という大きな世界に入り込んだ今では排便音を気にしながらトイレに入るようになりました。
一端の社会人としてうんこをすることをバカにされることはあり得ませんが、いつしか私は事務所の中のトイレで小刻みにパクパクと肛門を閉じながら、両手で尻肉をかっぴろげながら糞便を放り出すようになりました。
――人はなぜ排便音を嫌うのでしょうか。
私が勤める職場のトイレの傍らでは商品の梱包作業が行われています。
作業場には基本的に常にスタッフがいるため、気をつけなければ排便音が漏れて聞こえてしまいます。
事務所に設けられたトイレ……壁一つ隔てた先には作業場。
これまで過ごしてきて他の人の排便音を聞いたことがないので比較的防音性は高いのだと理解こそしていますが、なかなかどうして思い切り踏ん張ることができません。
一体どうすれば人知れずうんこをすることができるのか――私は常日頃から気にかけるようになり、そしてとある方法を閃いたのでした。
荷物の梱包にはビニールテープが使用されるのが常識ですが、そんなビニールテープをテープカッターから引き抜く際には『ビビビッ』といった大きな音が発生します。
私はこの比較的大きな音を利用することを考えました。
基本的に梱包作業は常に行われています。
常に人がいるというのは排便音が聞こえてしまうというリスクもある反面、定期的に大きな音を立てるテープが使用されているということでもあります。
いつしか私はテープを引き抜く音に合わせて踏ん張るようになりました。
ビビビッという音が鳴るであろうというタイミングに合わせ、力いっぱい踏ん張るのです。
狭い狭いトイレの個室。
便座に座って両手を組み、排便姿勢としては芳しくない前傾姿勢で精神を研ぎ澄まします。
――今このタイミング!
カッと目を開くと同時に、緩んだ括約筋からは空気を含んだ糞便が勢い良く飛び出し、管楽器の演奏よろしく弁となった肛門を大きく震わせて音を鳴らします。
快便。得も知れぬ快便。
消化しきれていない葉物野菜や海藻、トマトの皮などが形を残したまま勢いのまま次々と便器の中へと投げ出されていき、私の排便音は作業の止まっている静寂を豪快に切り裂いたのでした。


快便の時ならともかく、下痢便の時の音って救いようがないですよね。

どうすりゃいいんですかね。

叫びながら排泄をするとか?

周りにうんこをしていますって盛大にアピールしているようなものじゃないですか。

じゃあどうしろっていうんですか。

自分も周りも、排便を気にしなければ良いんですよ。

そうすればきっと世界は少しだけ平和になります。

うーん、それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいですよね。



ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!

作詞:定次さん
おおブリネリ あなたの居場所はどこ?
私のお声は よく通るのよ
周りの人にも よく聞こえるのよ

ヤーッ!!

ホーッ!!
