ジョーさんへ
おはよう、ジョーさん。定次さんです。
先日、私のもとにあなたが依頼している引っ越し業者から電子メールが届きました。
内容は引っ越し作業のお見積りだったでしょうか。
これからあなたが必要とするであろう引っ越し内容と、それに対するプランの提案についての料金案内でした。
もし、私とあなたが顔見知りであれば、メールが届いた時点であなたに一言連絡をするべきだったでしょう。
しかし、あいにく私の知り合いにはジョーという名前に心当たりがありません。
残念ながら私とあなたは知り合いではなかったのです。
故に見積もりのメールを見た瞬間、ずらっと羅列されたアルファベットに目を回して、すかさず迷惑メールとして報告をしてしまいました。
あなた宛に送られたであろう見積もりのメール。
その内容はとても細かなものだったので、今となってはスパムメールと判断するには少し手が込みすぎているようにも考えられました。
しかし、先程にも述べたように私とあなたは知り合いではありません。
私にはあなたへのメールがスパムとしか捉えられなかったのです。
添付されたファイルもあなたにとって大事な情報だったかもしれません。ですが私にはそれを開く勇気はありませんでした。
電子世界の犯罪が跋扈するこのご時世。万が一あなたが善人だったとしても、私にとっては悪意の塊にしか見えなかったのです。
最初に送られてきたメールが届いてから1週間が経とうとしたところ。
心の片隅のどこかに引っかかりこそあるものの、私は届くメールをスパムと信じて疑いませんでした。
ですが、万が一にもこのメールがスパムではなく本当にジョーさん宛の見積もりメールだったとしたなら、私はあなたに深く詫びなければなりません。
この記事では私のもとに送られてきたメールを本当にあなた宛に送られたものだという前提として考え、それに対する懺悔がジョーさんに届くことを祈ってメッセージを残したいと思います。
後日、私のもとに改めて引っ越し業者からメールが届きました。
Dear Joe,そのメール内容はブッキング確定のお知らせと、日程についてでした。
存外近い引っ越しの予定。迫る日程に申し訳なさを覚えつつも、尚も私は本当にあなたが存在しているかどうかがわからず、すぐさま迷惑メールとして報告をさせていただきました。
内容はあくまで日程とプランについての詳細だけです。架空請求ではないとはわかっていましたが、どうしてもあなたへのメールは恐怖でしかありませんでした。
再三迷惑メールとして報告しているにも関わらず、あなたが依頼している引っ越し業者からのメールは続きます。
昨日、私のもとにフィードバックを求めるメールが届きました。
来る19日、無事に引っ越しをすることができたようで良かったです。
あなたの住むオーストラリアはこの時期、私の住む日本とは違って冬の季節だそうですね。
寒い時期に行われた引っ越しサービスはいかがでしたでしょうか?
遠く離れた日本に住む私からは皆目見当がつきませんが、現在私のもとにはあなたが依頼した引っ越し業者から今回の作業についてのフィードバックを求めるメールが届いています。
あなたが依頼をした会社のことです。
インターネットで調べた限りでは悪そうな印象こそ受けませんでしたが、実際の現場を目の当たりにしていない無関係の私には判断がつかず、結果として迷惑メールとして報告させていただきました。
遠く離れて顔も知らないジョーさんへ。
今回無事にあなたの引っ越しが完了して心から安堵しています。
もし万が一この記事のメッセージがあなたに届いたのであれば、特に何もアクションを起こさず胸の内に秘めたままいつも通りの日々をお過ごしください。
下衆と皮肉はジョーさんの新生活を応援しています。