本物のクリームソーダとはこれだ!
おはよう、皆の衆。定次さんです。
最近は週末の昼頃に近場の銭湯に通うのが日課となりまして、今日もまたつい先程、ジジイどもがたむろする浴場に入り込んでゆっくりとした午後を過ごしてきたのであります。
入浴料は大凡500円。帰り際にコンビニで軽い弁当でも購入して火照った体のままエアコンの効いた部屋でゆっくりと昼飯を食らう……。
たった1,000円ぽっちで休日の時間を有意義に過ごせると考えると非常にコスパの良い趣味でしょう。
下衆と皮肉は法的な強制力を持ちませんが、この記事を閲覧している方々の中で仮に休日を持て余しているという方がいるのであれば、こんな過ごし方もあるものだと参考にしてみるのも良いかもしれません。
【銭湯通いに目覚めた時の話をまとめた記事はこちら】
今回は銭湯の帰りにコンビニへと立ち寄ってお弁当を購入しましたが、気分次第では飲食店で外食するのも良いかもしれません。
多少コストは高く付くものの、クーラーで冷え切った店内で軽食を済ますのはさぞかし気持ちの良いことでしょう。
個人的には喫茶店でアイスコーヒーを嗜みながら自慢のナポリタンでもいただくのがオススメです。
現在私は自宅でパックのアイスコーヒーを飲みながらこの記事を書いておりますが、喫茶店で飲む本格的なアイスコーヒーはきっとその何倍も美味しいことでしょう。
今すぐ急いで喫茶店へと駆け込み、アイスコーヒーを飲みながらこの記事を読めば私に対してマウントが取れると思いますよ。
実を言うと、私は喫茶店でアイスコーヒーを頼んだことがあまりありません。
アイスコーヒー自体好きではあるのですが、それ以上にクリームソーダといったドリンクに目移りしてしまうためにアイスコーヒーを飲むことがあまりないのです。
何ならアイスコーヒーよりもアイスミルクを頼むケースの方が多いかもしれません。
冷たい牛乳にガムシロップを混ぜて飲む……夏場の火照った体に流れ込んでくる優しい甘さは何歳になっても嬉しいものです。
牛乳が苦手だという人は世の中に一定数いるかとは思われますが、もしもアイスミルクを軽んじていたためにこれまで注文していなかったという人がいたらぜひ頼んでみてください。
ただの冷たい牛乳がメニューに並んでいるその理由がきっとわかるはずです。
――アイスコーヒーよりもクリームソーダに目移りしてしまうと先程お話をしましたが、実際問題クリームソーダを置いていない喫茶店なんてあるのでしょうか?
コーヒーが自慢の珈琲店なら考えられますが、今回の話はあくまで喫茶店が前提。
かつて私が別の世界線で暮らしていた時、とある老夫婦が営む喫茶店でアルバイトをしていた時期があったのですが、その喫茶店は昔ながらを謳うことでコーヒーと炒り豆とバニラアイスだけで運営していました。
私は主に裏方で豆をかじりながら入店時と退店時のコールだけを行い、毎日通い詰める常連から存在意義を問われていたのですが、マスターはあくまで私のことをマスコットキャラクターだと庇ってくれていました。
毎月の給料日には「マスコットキャラクターにお金はいらんだろう?」という理由で炒り豆を少しばかり分けてもらっていたのですが、マスコットが炒り豆をひたすら食べる光景に気味の悪さを覚えた客が徐々に離れていったことで、雇ってもらってから1年と5ヶ月で喫茶店は閉店することとなりました。
お店を閉める最終日、老夫婦は随分と口惜しそうにしていましたが、自分たちの年齢を鑑みて渋々ながらも現実を受け入れていたようでした。
お店を閉めてからというもの、時折「店が閉まったのはお前の存在のせいだ」と責め立ててきたものでしたが、その時の私は既に抜け殻。既に中身のいない私に対してひたすら捲し立てるマスターを遠目に見ながら現世界線へと移ってきたのでした。
こちらの世界線は良いですね。どこの喫茶店に行ってもクリームソーダが置いてある。
クリームソーダが好きな私にとってなかなか嬉しい世界線であると言えるでしょう。
以前より私はクリームソーダの在り方について度々喫茶店にクレームを入れるといった暴挙に出ておりましたが、クリームソーダに対しての愛が過ぎてしまったために起きたエゴであったと今更ながら反省しております。
しかしクリームソーダが国王であると妄想を抱くトチ狂った人を道端で見かけた世界線で生まれた気になっている私にとって『理想とかけ離れたクリームソーダを提供する喫茶店』は正さなければならない存在。
謎の使命感に駆り立てられながら、私は理想のクリームソーダを手に入れようと幾度となく戦い続けてきました。
今回はそんな戦いに終止符が打たれたであろう結果となったので、その武勇伝を紹介していきたいと思います。
【過去に投稿したクリームソーダについての記事はこちら】
お店から提供される氷ばかり詰まったクリームソーダ。
過去の記事では長くクリームソーダを楽しむために考えられたメニューであると妥協をした話もありました。
しかしやはりどこか納得がいかず、今一度軽くクレームを入れた後に日を改めて確認に向かったところ、やはり私の求めるクリームソーダではないと考え直す結果となりました。
日を改めたところで客の要望がまかり通ることはなかった……その無慈悲さに敗北感すら覚えたものでしたが、ここで私はとあることを閃いたのです。
鳴かぬなら
鳴かせてみせよう
ほととぎす
これはかの有名な武将である『豊臣秀吉』が詠んだ句ですが、歴史文学に聡しい閲覧者の皆さんならこれがどういった詩であるかよくご存知かと思います。
今回この詩と私が閃いたクリームソーダについての件は全く関係のない話なのですが、実際問題、氷が容積の大半を占めるクリームソーダを出されたら豊臣秀吉も動揺し、「この色付きの水は何だ?」と店員さんに問いただすでしょう。
「クリームソーダですが……?」
予想だにしていない質問に店員さんも思わず訝しげな表情をしてしまうのですが、そこで同席していた私が咄嗟にクリームソーダを手に取り美味しそうに味わうのです。
その場にいた全ての人間がきょとんとした顔をしてひたすらにクリームソーダを味わう私を眺めるのですが――このクリームソーダ、どうも氷が多すぎて飲みにくい。
中身が半分になったグラスを徐ろに置くやいなや、私は店員さんにこんな提案を持ちかけました。
「氷を減らすことはできますか?」
店員さんは少し困った顔をすると、しばらく間を空けてから小さな声で「難しいかもしれません」とだけ返しました。
――なるほど、氷を減らすことで上に乗せるバニラアイスをフロートさせられなくなってしまうのか。
全てを察した私は「じゃあ気持ち少なめで」と不細工な笑顔を見せて店員さんを厨房へ追い返しました。
厨房の方からは「○○番席クリームソーダ一つ。氷気持ち少なめで……できます?」とオーダーを通す声がしっかりと聞こえました。
幾度となく送りつけたクレームが通らないのであれば、自身のオーダーを変えればいい・・・。
氷を減らすことくらいならまかり通るだろうと閃いた、定次さんのファインプレーですね。
でも実際には氷を多く入れなければフロートが成り立たないって確かな理由があったんでしょう?
喫茶店側は定次さんの無理な要求をちゃんと受け入れたんですか?
定次さんいわく、普段よりもちゃんと少ない氷で出てきたそうです。
量も目減りしておらず、ストローもグラスの奥まで挿し込めたので感激したとのことですよ。
その代償として上に乗っかっていたアイスは泥舟のように沈みかけていたそうですが。
見てくれの悪いクリームソーダを提供することになって喫茶店側も納得いかなかったでしょうね。
最初にオーダーした時は、店員さんから「アイス別添えでなら」という条件を出されたそうです。
肝心なのはそれを食べて美味しかったかどうかですよ。
定次さんいわく、何か物足りなさを感じたそうです。
氷が少なくなっていたことで絶妙に冷たさが足りず、アイスがすぐに溶け始めていたのでゆっくりと飲む余裕がなかったとか。
何だかんだ、考えられて作られたクリームソーダだったってことですね。
じゃあまるで一人で持論を繰り広げて騒ぎ立てていた定次さんが馬鹿みたいじゃん。
クリームソーダも一枚岩ではないってことですよ。
飲めぬなら
溶かしてみせよう
クリームソーダ
字余り。