【ホラー】パンナコッタあげるから助けて


おはよう、皆の衆。定次さんです。
最近私はよく業務スーパーで買い物をするようになりました。
これまでは他にある近所のスーパーやコンビニで買い出しをすることが多かったのですが、業務スーパーは自転車通勤で運動する分にはちょうど良い距離にあり、それでいて他のお店と比べてニラが安いのでよく使っています。

買い物は、家の近くにはスーパーがあるのですが、全く関係のない通りを向かった先にある業スーへよく行きます。業スーの方がニラが安いので。

いらんいらん、そういうノリは。
最近の私が通い詰めるそんな業務スーパーですが、ただニラが安いだけではなく、一般のスーパーでは取り扱わないような業務用食品や輸入食品も多く取り揃えているのが何よりの魅力。
昨日なんかは調理済みの豚足が売ってあったのを見かけたので、つい衝動的に購入してしまいました。
別段、豚足なんて他のスーパーでも取り扱いがあるのかもしれませんが――、少なくとも私の記憶では近隣のスーパーで同じような商品が売ってあったというのを見かけたことがありません。
仮に売ってあったとしても普段の買い物で手を伸ばすことはないでしょう。何しろ豚足ですから。
業務スーパーの特定の場所に置いてあったからこそ買って食べたいと思える衝動に駆られた――ただそれだけのこと。
その日の私はレジ袋の中に豚足と謎の輸入チョコレート、一束のニラと業務用パンナコッタを押し込めて帰宅したのでした。
さて、いきなりですが問題です。
今日、私は夕食のおかずとして一体何を食べたでしょうか。

豚足では?
ディスプレイ越しにヒシヒシと伝わってくる「豚足食べた自慢をしたいんでしょ?」という雰囲気。
確かに豚足を食べた――という内容は、今にも飢餓で倒れてしまいそうな、豚足が大好物な人にとって垂涎の事実かもしれません。
しかし、残念ながらその精一杯の予想は大外れ。本日私が食べたのは同じく業務スーパーで購入した鶏ササミとシメジでした。
ササミを丸ごと熱湯に入れて火を通し、水にさらしてから適当にほぐしたものをシメジ、オリーブオイルと一緒にフライパンに入れ、スイートチリソースとケチャップ、これまた業務スーパーで購入したオイル漬けの刻みニンニクと混ぜて炒めることで出来上がった炒め物を今日の夕食のおかずとしていただきました。
豚足はあくまで昨日の夕飯のおかず。
衝動買いした当日、気持ちが抑えきれずに食べ切ってしまった――というのが、そんな昨日の食卓のお話です。
しかしながら、実際にこうして豚足を食べてみてもそこまで気持ちが乗らないのはどうしてでしょうか。
私自身、特別豚足が好き――という人間でもなく、時価で売られているバフンウニの丼とどちらが食べたいかと神様に迫られるようなことがあれば迷うことなくウニ丼を選ぶくらいには豚足のことをどうでもよく思っているのですが、そんな感性を持ちながら、それでいて気乗りしないのをわかっていながら、どうして私は豚足を購入してしまったのでしょうか。
実際問題、変わり種の食材というのは冒険心がくすぐられる分関心が湧きやすく、好物となり得る場合がよくあります。
ですが、豚足に至っては食べたところで特別リピートをしたくなるほど美味しいわけでもなく――いや、実際には美味しくないわけではなく、どちらかといえば美味しいのですが、どうしても食べにくさや豚本来の臭みの印象が前に出てきてしまうので今ひとつ物足りなさを感じてしまいます。
事実、豚足が得意じゃないという人は世の中に多いでしょう。
上記で挙げたほか、見た目が生々しいからという理由で食わず嫌いをしている人も少なからずともいるはずです。
豚が可哀想だから――といった意見を見かけることもありますが……下衆と皮肉は他者に押し付けるほどの強い思想は指示いたしかねますので、今回パンナコッタの話を目的として読み始めておきながら、私が一方的に豚足を食べたという自慢をしていることに辟易してしまっているような方はひとまずブラウザバックでお帰りいただき、日を改めてこの記事を読んでもらえると幸いかもしれません。
豚足が苦手な人にとって、今回の記事の内容は酷だったでしょう。
思想が強い方が私の文章を読み、豚足を食べたという事実に怒りを抱き、私が促すままページを閉じて、日を改めてこの記事を読むことでまたしても怒りを抱くこととなり、永遠とこの豚足ループから抜け出せなくなってしまうのです。
対象となる方には大変申し訳ないことをしたとは思っているのですが――折角ですのでこの際その強い思想から解脱し、晴れて豚足デビューを果たしてみてはいかがでしょうか。オススメですよ。
とやかく言ってはおりますが、実際問題、見た目が生々しくて食べられない――という感性は私自身わからないでもありません。
豚足という部位は精肉と生物との境界線を彷徨うようなビジュアルをしているので、肉親が豚で、それでいて目の前で足を切り落とされるような光景を幼い頃に見せつけられるようなトラウマを持つような閲覧者の方がいたならば――きっと豚足が食卓に並ぶだけで気が狂うような思いをすることでしょう。
しかしながら、心の奥底に少しでも食に関して寛容な気持ちがあるのであれば――ぜひともそんなトラウマを乗り越えて、食わず嫌いを解消し、豚足デビューを果たしていただきたいと私は思います。
今回私は業務スーパーで豚足の水煮を購入しました。
フライパンに張ったお湯でボイルをし、皿に盛り付けてむしゃぶりつくように食べました。
――何とも食べにくい。そしてそれでいてとても臭い。
まるで豚舎の中でゼラチンの塊にかぶりついているような気分になれました。
格別美味しいと感じられるような代物ではありませんでしたが、人としての経験値を得ることができたような気がしました。
もし皆さんも機会があれば、「自分は豚足を食べたことがあるんだぞ」というマウントを取るためだけにチャレンジしてみるのもありかもしれません。
水煮は豚本来の臭みが強いのであまりオススメはできませんが、調味液で味付けをしてある豚足に関してはきっと美味しく食べられるはずです。
豚足を食べた後は指の骨のような細かな骨が残ります。
やわらかそうな見た目をしながらも、意外と食べる部位が少ないそんな豚足。
三角コーナーに捨てられた小さな骨のことを今一度思い返しながら書きまとめております、今回の記事でございます。


最近私はよく業務スーパーで買い物をするようになりました。
これまでは他にある近所のスーパーやコンビニで買い出しをすることが多かったのですが、業務スーパーは自転車通勤で運動する分にはちょうど良い距離にあり、それでいて他のお店と比べてニラが安いのでよく使っています。

買い物は、家の近くにはスーパーがあるのですが、全く関係のない通りを向かった先にある業スーへよく行きます。業スーの方がニラが安いので。

それはもうええでしょう。
皆さんは紙パックに入った業務用スイーツを食べたことはあるでしょうか。
紙パックと言うよりかは、牛乳パックに入った――と表現したほうがわかりやすいかもしれません。
プリンやゼリー、今回のお話に登場するパンナコッタなどとその種類は多岐に渡り、そのコスパの良さからファンの人も多いです。
私自身、この業務用スイーツに関しては小皿に盛り付けるのが手間だと考えるのでそこまでドハマリすることはなかったのですが、一度食べてみるとこれがまた存外美味しいもので、そのチープな見た目に反して本格的な美味しさを楽しむことができました。
それ故に私はもしも家に悪い何か霊的な何かが存在していたら、それに対してこの業務用パンナコッタを差し出すことで何かしらの理解を得られるのではないか――という考えを最近抱くことがありまして。

いやね、皆さんが言わんとしていることもわかります。
仏壇よろしく、スピリチュアルな世界に業務用のパンナコッタをお供えするという行為は一体どんな心理かと。狂気に片足突っ込んでいるのではないかと心底心配してくれているのが手に取るようにわかります。
しかしながら、最近の私はどうかしていたのです。
悪いことばかりが続いて、それがきっと身の回りに存在する"見えない何かのせい"なのではないかと思い込むようになったのです。
故に先日の私はこの美味しいパンナコッタを盛り付けながら閃きました。

このパンナコッタを悪霊にあげたら、もう悪いことは起きないのではないか?
だから私は夜食に食べようとパンナコッタを用意している最中、思いついたようにもう一つの器を用意し始めて、ついでにその器にもパンナコッタを盛り付けたのです。
パンナコッタを盛り付けていた時の私の様子は常軌を逸していました。

このパンナコッタはうめぇぞ?これやるからもう悪いことはするんじゃねぇぞ?
ブチギレた様子でパンナコッタのように甘い言葉をささやきながら、紙パックからドュルドュルと出てくるパンナコッタをこぼさないように慎重に盛り付けていきます。
サーティワンアイスクリームでかっさらってきたピンク色のスプーンをぶっ刺し、ラップをかけてできあがり。
もし本当にこのパンナコッタ一つで悪いことが起きなくなるのならば――と考えた私は、そのままキッチンにパンナコッタを放置して、時間経過によって何かしらの変化が起きるのを待ったのでした。

パンナコッタをお供えすれば悪霊は鎮まる?
いるかどうかもわからない、勝手な思い込みで始めた交霊行為。
実際問題、こうして悪いものに取り憑かれている気がするようになったのにも理由がありました。
何しろ最近見た夢が、どうにも現実か夢か判断のつかない奇妙な夢だったのです。
現実のようなその世界、私は親しい人の背中に話しかけていました。
相手は反応を示していたようですし、私もその反応は自然だったと認識していました。
しかしいざ思い返せばその反応はとても不可解なもので、言うならば喉の奥からひねり出すような、ガイガーカウンターの反応音のようなうめき声でした。
もしこの内容が実際に起きていた現実ではなく、私が見ていた夢だったならば――。
ネット上に蔓延る怖い話には、よくうめき声をあげる描写が見受けられます。
夢の中に出てきた親しい人が得体の知れない何かが化けていたものならば、現実で私の眠っている最中にイタズラを仕掛けていた可能性も否定できなくもありません。
――で、あればパンナコッタを以てして交渉するほかないと私は考えたのです。
キッチンに置いたパンナコッタ。
いくら業務用とはいえ、日々私が美味しそうに食べているものなら向こうもパンナコッタが食べたくなるはず。
適当な時間まで放置することで何かしらのアクションが起きるのではないかと、少しの間、パンナコッタを放置してみたのでした。


して、パンナコッタをキッチンに置いたことで心霊現象とやらは起きたのですか。

数十分ほど放置したそうなのですが、「そもそも何で迷惑を被っているこちら側が譲歩しなければならないのか」と急にブチギレ始めた定次さんが我慢しきれずに食べてしまったそうです。

食べたきゃ勝手に冷蔵庫を開けて食えってプリプリしてましたよ。

まぁ確かにわざわざ用意してまででもないですもんね。

子どもじゃないんですからね。

でもまぁ、中途半端に挑発したら危険だとも言いますけどね。

あとで祟られても知らんですよ。

業務用のパンナコッタ一つで怒るってのもどうなのよ?

まぁそれもそうですね。

そもそも幽霊ってパンナコッタ食べるの?

世の中には豚足が好きな幽霊もいるかもしれませんね。

ナンテコッタ!



ナンテコッタ!




















【定次さん】






