マルチタスクの鬼と蜘蛛の糸
おはよう、皆の衆。定次さんです。
熱したフライパンにオリーブオイルをしき、全体に染み込ませるように食パンを置きます。
表面が軽くさっくりと固くなってきたところでひっくり返し、逆の面も同じようにオリーブオイルを染み込ませた状態でさっくりと焼き上げます。
この時、熱い表面の上にとろけるタイプのスライスチーズ、もしくはシュレッドチーズを乗せ、予め柔らかくなるよう溶かしておくのがポイントです。
焼き上がったパンを一度別皿に移し替え、今度は目玉焼きを一つ焼きます。
目玉焼きを焼いている間、半分溶けたチーズの上にチリソースとチューブにんにくを軽く塗り、更にもう一層チーズを乗せます。
目玉焼きの裏側に十分火が通ったら裏返し、黄身が半熟になるくらい表面からも熱を通します。
※裏返す際に黄身が割れることがありますが、仕上がりに然程影響を与えないのであまり気にしなくても問題ありません
新しく乗せたチーズの上に熱々の目玉焼きを乗せ、チーズを溶かします。そして更にその上からもう一層チーズを乗せます。
最後にもう一枚、最初に焼いた時と同じような手順で食パンを焼き、先程盛り付けた上に乗せて挟めばできあがり。
さっくりとろ〜り、こぼれ出てくる半熟の卵黄に気をつけながらいただきます。
肩に張り付けたパッドからは絶えず電気が流れ続け、ビクビクと痙攣したような状態が続いています。
毎晩行うボクササイズですが、翌朝には肩がだるくなってしまう場合が多いので、朝方にはこうして低周波マッサージ機を肩に押し付けて血行を促進させます。
電気によって持ち上がる肩は何とも不思議な感じがしますが、腕から先まで連動することはないのでホットサンドを食べる分には支障ありません。
口に運ぶ際、せいぜい勢い余って黄身が顔に飛んでしまうことを気にする程度でしょうか。
忙しい朝はどうしても焦りがち。時間をゆっくり使って食事することの重要さを教えてくれます。
低周波マッサージ機の治療時間はおおよそ一回30分。どうせテーブルに座ったまま動かないので丁度いい時間です。
オリジナルホットサンドを食べつつ、合間に豆乳を口に含みます。
私が飲むのは決まって砂糖不使用の紅茶味。「砂糖不使用で、更には紅茶風味なんて美味しいのだろうか?」と疑問を持つ人も少なからずはいるかもしれませんが、これがまた飲みやすくて美味しいのです。
私は乳製品のような口内に膜を張るタイプの飲み物で食事を済ませるのはあまり好んでいません。
仕上げに流し込むための薄い水出し玄米茶を傍らに置き、尚も肩をビクビクと震わせながら食事を進めます。
最近私は自分磨きのために英語の勉強を始めました。
動機としては海外の人と会話をする際、カタコトであっても疎通が取れたら格好がつくものだと考えたからです。
英語の勉強をするきっかけとして、とあるサブスクを見つけたのが始まりでしたが、今や毎朝続けて1ヶ月。1回の勉強時間は然程大したものではありませんが、継続することで英会話に対する抵抗がなくなり、今ではかなり興味関心が深まった気がします。
普段多用している日本語とは全く逆の語順となる英語の文法。ボキャブラリーを増やすのも重要ですが、語順の切り替えの難しさを常々実感させられています。
スマホから発せられる他愛ない日常英会話。尚も肩をビクビクと痙攣させながら特性オリジナルホットサンドを咀嚼しつつ、時折豆乳を口に含んで飲み干してはAIへ言葉を返します。
ヒアリングが難しいところもありますが、イントネーションやボキャブラリーにもまだまだ難あり。築一スマホの画面を覗いては正しい回答を理解しつつ、わかる範囲での簡単な返事を英語でします。
時にはちょっと背伸びをしてみようと、手元で開いていたPCの画面を翻訳サイトへと切り替えて、ちょっと意地悪な返事をしてみてはAIの反応を楽しむなんてことも。
翻訳サイトを閉じればいつも私のPC画面はブログやその他SNSのインプレッションを表示しています。
昨日はどれだけのアクセスがあったのか、先週は一体どれくらいのアクションがあったのか……大した成果が上がることはないですが、ブロガーにとってアクセス解析の巡回は非常に重要です。
尚も肩を痙攣させながら、皿の上にこぼれた卵黄をパンの端っこですくって食べながら、スマホでAI相手に日常英会話の勉強をしながら、ブログの達成感を味わうのです。
超絶美味しい特性オリジナルホットサンドを食べ終えたところで少々手持ち無沙汰。
少しばかりギトギトになってしまった指を拭きつつ、汚れていない指先で低周波マッサージ機とスマホと食器を持って台所へと向かいます。
「電気が流れている状態でシンクの前に立っても大丈夫だろうか?」と疑問を呈しながらも肩を痙攣させつつ使った食器とフライパンを洗います。
AIから投げかけられる言葉を無視しながらさっと食器洗いを済ませ、再びテーブルへと戻る――PCを開いたところでもうインプレッションから得られる情報はありませんし、マッサージも間もなく終了の時間です。
AIには「It’s finished.Thank you.」とだけ伝えて無理やり会話を終わらせます。
――一気にやることがなくなってしまった……。
平日ならばこれから出勤ですが、休日ならばただ持て余してしまうだけ。
これからその日に投稿するブログ記事の準備が始まるわけですが、如何せん気が進まない。
そう言えば歯医者の予定もあったでしょうか。先日交換したタイヤの増し締めもやっておくべきです。鳥の糞で汚れた車の洗車もしなくちゃならないですし、やることいっぱいですね。
マルチタスクをこなした達成感に満足してあとは何もかも面倒くさい……そう考えつつダラダラとした休日を私は過ごすのでした。
今回のマルチタスクの話でも出てきたマッサージ機の紹介をしたいと思います。
よろしくお願いします。
今回使用したのはオムロンさんが販売する低周波治療器。
『HV-F081』です。
指の付け根の腱鞘炎の治療用に先日購入しました。
まだ使い始めてすぐですが、正直これめっちゃいいです。
なんかお風呂の給湯スイッチみたいなビジュアルですね。
まぁ確かに据付な感じは否めませんが、デザイン的には格好いいでしょう。
確かに。普通、低周波マッサージ機ってもっとなんか・・・ババ臭いようなデザインですもんね。
ババ臭いデザインってなんだよ・・・。
プロアスリートも使うような機能も備え付けていますからね。
スポーツ後の筋肉、関節の治療、回復に推奨されています。
へー、関節にも使えるんですね。
値段は普通の携帯治療機よりも若干高いくらいですが、値段相応、もしくはそれ以上の価値がありますよ。
具体的にどんな?
まず、開封してびっくり。専用ケース付き。
持ち運び可能なコンパクトポーチみたいなケースに全てすっぽり収まります。
収納が用意されているのは嬉しいですね。
マイクロカレントとかいう、刺激のない微弱電流を使ったプロアスリート御用達の機能から、筋肉や関節の回復モード、そして急性的な痛みに対応したモードなど機能も充実。
動きも『もむ』『押す』『たたく』、『さする』『指で押す』といった感じで種類豊富。
接続チャンネルも2つあって、同時に2箇所の治療も可。パッドも張り付けやすい形状をした大型と小型の2種類がそれぞれ2セットずつ入っています。
パッド保管用のプレートもちゃんと入っていてお片付けも取り出しも楽ちん。
バッテリー式なので充電すれば何回も使えます。
めっちゃ語るじゃん。
とにかくめっちゃいいです。
マルチタスクの鬼になるには、まずは自動で行うマッサージから。
用法用量は適度にね。
みんな買ってね!
買ってね!
【特別読み切り】クモの生涯
昨日はこの時期にしては珍しい、暑い気候の日だった。
真夏までとは言わないが、その暑さから思わず運転席側の窓を開けて車を走らせる。生ぬるい風が車内に入り込んで心地が良い。
洗車場へ向かう最中、ふと外を見るとサイドバイザーの隙間に見たこともない形をしたクモが張り付いていた。
蛍光色の強い緑がかった体、頭には密袋のような半透明な触覚を有し、前後には細い手足が伸びている。その体長は丁度私の人差し指の第一関節から指先くらいまでだろうか。
信号が赤になって停車する度に目を向けてしまうその存在感。誤って車内に入り込んできてしまわないかと不安になり、思わず窓を閉めてしまった。
エアコンを点けるのにも抵抗があり、車内はどんどん暑さを増していく。
得体のしれないクモ一匹如きで蒸すような暑さを我慢しなければならないのはどうも釈然としないが、目的地までは然程遠くない。
どうせなら途中の道で少しばかり速度をあげて振りほどいてしまおうと私はアクセルを強く踏んだ。
「今日は風が強い日だなぁ」
まるでそんなことを考えていそうな態度で得体のしれないそいつは身を縮こませて吹き付ける強風を凌いでいた。
信号で停まる度にゆっくりと動き回るそいつ。よく見ると尻からキラキラと光る糸を出してサイドバイザーに縫い付けているのがわかった。
こんな隙間に糸を張り巡らせてどうするのだろうかと思わず笑ってしまったが、このまま大きな巣を作られてしまってはたまったものではない。
速度を上げる度に身を縮こませてやり過ごし、停まる度に糸を吐き出すそいつ。いつしか強風の受け方を学習したのか、車を走らせる方向に向かって体をまっすぐ伸ばす姿勢を取るようになっていた。
これでは仮に高速道路で走らせたとしても振り落とすことはかなわない。私は妙な愛着を覚えながらも、早いところ邪魔なそいつを振り落としてしまおうと急ぎ洗車場へと向かった。
天気が良いにも関わらず、この日の洗車場は妙に空いていた。時間も丁度正午の頃だったからだろうか。
クモは変わらず意味のない巣を作ろうと身を捩らせている。こいつを吹き飛ばすのも大事だが、まずは助手席側に大きくへばりついた鳥の糞を綺麗にするのが先決だ。
普段なら多少の鳥の糞は雨が洗い流すという理由から放っておくことが多い。しかし今回は丁度ワックスをかけてまで洗車をした直後に発覚した汚れだったので何とかして洗い流したかったのだ。
別段今回もワックスがけをする必要はないだろう――私は一番安い水だけの洗車コースを選び、射出ノズルを車へと向けた。
勢いよく放たれる水――昨今の黄砂問題も吹き飛ばしてしまうほど強烈な水圧はみるみる内に狙いすました汚れを落としていった。
同時、ふとサイドバイザーの隙間が気になった。クモは何を思って今も巣を作っているのだろうか。
そんな思いに耽けながら、私は容赦なくノズルの先をサイドバイザーの隙間へと向けた。
帰りの道中、もうそこにそいつはいなかった。
短い間だっただろうが、そいつにとってもしかしたら私は相棒だったのかもしれない。
――その晩私は夢を見た。
サイドバイザーの同じところに残されたクモの糸に張り付いて、新たに赤いクモが巣を作る夢を。