ちょっとしたダイアリー『鯖を酢に漬けたやつ』


おはよう、皆の衆。定次さんです。
サバって美味しいですよね。
皆さんもきっとお好きでしょう。
青魚が苦手――という方も世の中には一定数いるようですが、私は皆さんがサバ好きであることを信じたいと思いながら今回の記事を手掛けております。
ただ、毎度思うこととして、本当に世の中には青魚が苦手な人はいるのでしょうか。
私という人間はそこまで見聞が広いわけでも、顔が広いわけでもないのですが――、これまで生きてきた中で「青魚が苦手」と叫びながらプラカードを掲げて町中を練り歩く集団を見たことがありません。
実際問題、サバが嫌いという人の意見を通さないフィルターを介して聞き込み調査を行った妄想をしたところ、私の脳内に現れた人々は皆口を揃えてサバが好きだと答えていました。
だからこそ世の中にはサバ好きが溢れていると私は確信を持って断言するのですが――、正直に言えば私自身、サバの肩を持ちたいわけでもありませんし、仮に皆さんがサバ好きであったところで何のメリットもないと理解しているので、現時点で皆さんがディスプレイに向かって「サバが好きだ!」と声を上げたとしても、何一つとして私の心に響くものがないと思っております。
何なら日常下で過ごしている最中、町中で唐突に「サバが好きだ!」と声を上げる人がいたらびっくりしてしまうでしょう。
一体何だこの人は……と怪訝そうな顔で一瞥を投げた後、しばらくしてその奇行の要因が私にあることを思い出し、私はそのまま顔を引きつらせながらそそくさとその場を後にすると思います。
今回の記事が投稿された後日、町中で「サバが好きだ!」と声を上げる人がいたとしても何ら不自然ではないかもしれませんが――もし万が一、この記事を書いている最中に近隣の部屋から「サバが好きだ!」という叫び声が聞こえてくるなんてことがあったら私は一体どうすればいいのでしょうか。
この記事を書くタイミングが、たまたまそんな「サバが好きだ!」と叫ぶようなシチュエーションと重なってしまったのか……それともこの記事をリアルタイムで遠隔から覗いている人がいるのか……。
何にせよこうして記事を書いている最中に「サバが好きだ!」と聞こえてくるような事態が起きようものなら、私はもうブルブルと震えながら布団に潜り、今一度むっくりと起き上がってから戸締まりを確認し、きちんと今回の記事を仕上げてから歯を磨き、再度布団に潜ってから警察に相談するかどうか考えた末、とりあえず様子見することと決め込んで、ブルブルと震えながらぐっすり翌朝を迎えるほかないでしょう。
一応、現時点ではどこかしらから「サバが好きだ!」という叫び声は聞こえてこないので、このまま今回の記事を進めていきたいと思います。
さて、先日の3月8日はサバの日だったわけですが……どういう因果律に呼ばれたのか、その日の私はサバを食べる運命を辿りました。
ただ、その日だけでは購入したサバの切り身を食べきることができず、残りを後日の食卓に回すことに。
一気に消費し切ることができなかったために、結局3日連続でサバを食べる羽目になりました。
実際問題、私はサバが嫌いではないので何日も連続で食べたところでマンネリを覚えることはないのですが、サバをはじめとした青魚というものはなかなかどうして痛むのが早いもので、サバ生活も3日を越えるとどうしても衛生的な面で不安が出てきてしまいます。
2枚目までは冷蔵庫で保存し、最後の1枚だけ再冷凍をする……そんな選択肢もありましたが、たった1枚のために手間をかけるのも癪ですし、何ならその冷凍保存で味を落としてしまうのも嫌だということから、腐敗覚悟で3枚目も冷蔵保存のまま置いておくことに決めました。
しかしながら、このまま単純に冷蔵庫に保存しただけだとどうしてもリスクが拭えないのは確か。
そこで私はそんなリスクを少しでも軽減させようと、最後の1枚であるサバの切り身にとある処理を施したのでした。
私は普段、食物繊維の摂取を目的としてラッキョウの消費を心がけています。
故に常に冷蔵庫の奥には甘酢に漬けられたラッキョウが置かれているのですが、日頃からラッキョウばかり食べているとどうしてもお酢ばかりが残ってしまい、いつも捨てるか、もしくはラッキョウと一緒の器に盛り付けてちびちびと飲むようにしていたりしています。
【 ラッキョウの魅力についての記事はこちら 】
ただ、今回に至ってはそんな消費も追いつかず、無駄にお酢が余っていました。
そして私はその無駄に余るお酢を見てピンと閃き、どうせならこの甘酢にサバの切り身を漬け込んだらどうだろうかと考えたのでした。
実際問題、サバにお酢を使った調理法はメジャーです。
有名どころで言えば〆鯖なんかがわかりやすいでしょう。
ラッキョウに使っていた甘酢だろうがなんだろうが、とりあえず酢に漬けておけば痛みやすいサバの身も日持ちするだろう――と、そんな根拠のないにわか知識を振りかざし、結果、私は早速サバの身を半分に切って甘酢の中へと漬け込んだのでした。
お酢にサバを漬ける時点でどことなく失敗するであろうという予感はひしひしと感じていました。
実際問題、既に冷蔵庫内で3日経過しているサバの身をお酢に漬けたところであまり意味はないだろうと思っていました。
せめて食べる際、お酢の風味と味がキツくて嘆いてしまったといったようなブログのネタになればいいな――とだけ思いながら私は冷蔵庫を閉めたのですが……翌日、酢漬けのサバを入れたタッパーを開けると思わぬものが出来上がっていたのでした。
サバの身にさらされて汚く濁った甘酢。
少しでも美味しくなればと塩昆布も入れたのですが、サバの切り身自体の見た目は然程変わりありませんでした。
しかしながら、腐敗している様子も見受けられず、傷んでいる様子も感じられません。
変な臭いもしないし、水気を吸った身は新鮮――とまでは言えないですが、どことなくハリがあるようにも見えました。
流石にサバにさらしたお酢は消費できないと流しへと捨てましたが、残ったサバの切り身はそのままフライパンの上へ。
皮はヘタってしまってすぐにフライパンに張り付いてしまったのですが、みずみずしさを取り戻したサバの切り身は美味しそうな音を立てながら、砕けることなくキレイに焼けていきました。
お酢に漬けていたので臭いが立ち込めないかと気になりましたが――どういうわけかニオイもそこまできつくない。
何なら照り焼きでもしているかのような香ばしい匂いが立ち込めてきました。
そして焼き上がり。
完成したのはキレイな焼き色がついた焼きサバ。
私はすぐに炊飯器からご飯を盛り付け、その焼きサバをおかずに夕食としたのでした。

苦し紛れの策が一転、功を奏して出来上がったサバの切り身。
ただ、一番肝心なのは味。いくら見た目がキレイでも味がお酢みたいに酸っぱいだけだったら意味がない。
私は緊張した面持ちの中、まずは一口食べてみたのでした。
……うまい。
焼いていた時に感じた照り焼きの香り――その香りがそのまま味になったかのようなちょうど良い甘じょっぱさと、4日目の青魚とはまるで思えないようなジューシーさが口いっぱいに広がります。
いくら甘酢と言えども、丸一日お酢に漬けていたので多少は酸っぱくなると覚悟はしていました。
しかし実際に食べてみるとそんな酸味はまるでなく、逆にちょうど良いアクセントへと変わっていました。
「失敗談のネタになればいいのに」といった考えとは裏腹に大成功してしまったサバの甘酢漬け。
もしかしたらお酢がごまかしていた――というだけで、実際には傷んでいた可能性も否めないですが、食べ終えてから数日が経過した今、特に腹を下すこともしていないですし、体調不良も感じられていません。
単に私の体が丈夫なだけかもしれないですが――何事もなく、それでいて美味しくサバの身をいただけたのは素晴らしい成果だったのではないかと思います。
ありがとう、4日目のサバ。
ありがとう、甘酢ラッキョウ。
日持ちさせるための方法としてではなく、一つの調理法として、ぜひ皆さんも試してみてください。
きっとあなたはもっとサバが好きになるはず。

サバが好きだ!

サバが好きだ!






















【定次さん】






