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トイレの中はいつも敵だらけ!!

トイレの個室で警戒を怠らない図

ご挨拶(敬礼)

おはよう、皆の衆。定次さんです。

「平和な日常下でも常に警戒は怠らないように」

 

皆さんも聞き覚えがあるでしょう。

誰しもが現世に生まれ落ちてくる前、お母さんのお腹の中で胎教として散々聞かされた言葉です。

私なんかはお腹の中にいる最中、メール便で送られてきたマニュアルをまだ開いてもいない目で穴が開くほど読んだものです。

羊水を含んでぶわぶわに湿気ったマニュアルは今もどこかのゴミ集積所の山の中に埋められていると聞いたことがありますが、産まれてくる前から頭の中に刷り込まれた日々の危険に対する全12文字のガイドラインは今も一字一句口に出せるほどには覚えています。

 

しかし昨今では世の中が平和的傾向にあることからか、どうも日頃の警戒を怠る人々が増えているとのこと。

「自分自身に危険が降りかかることはそうそうないだろう」と高を括るのはわからなくもないですが、常時無意識下で気を張り巡らすことに疲れ、腑抜けた日常を過ごせばいつか痛い目に合うのは確かです。

常に警戒を怠らず、いつ自分自身に危険が降りかかるのかを把握しておくことに損はありません。

散歩中、食事中、入浴中などいついかなる時も常に気を張り巡らすことが自身を守る術に繋がってくるのです。

 

これはトイレの個室に入ってうんちを放り出している時にも当てはまります。

閉ざされた空間の中、いつ誰が用意したかもわからない便座に座って用を足す時なんかは無防備以外の何物でもないでしょう。

ましてやその集中するべき意識も下腹部に割かなければならない。

「もしかしたら壁一枚隔てた向こうでは銃や刃物を持った不審者がこちらを探しているかもしれない」とまで思えるくらいに警戒をしながら排泄をしなければ、次の瞬間にはクソにまみれた屍になっていてもおかしくないのです。

気配こそ消せても臭いと音でバレてしまう……この空間に誰もいないことを確認し、一呼吸をおいてから人はようやくうんちを放り出すことができるのです。

 

先日の私も間一髪のところで危険を回避することができました。

それは職場にある個室便所で普段と変わらずうんちを放り出そうと頑張ろうとした矢先のことでした。

トイレの入口が開く音が聞こえ、誰かが入ってきたのです。

上下に開いた扉の隙間からは何者かが動く影が見て取れます。

恐らく向かいにある小便器で用を足しているのですが、もしかしたら背だけこちらに向け、脇からは銃口をこちらに向けているのかも知れません。

私は思わず身震いをしました。緩みかけていた肛門を締め上げ、幼い子供の身を隠すように直腸に戻るように便を促します。

もうあと数秒遅ければどうなっていたでしょうか。私の入っている個室にその脇に挟んだサブマシンガンが火を吹き、扉ごと蜂の巣にされていたかもしれません。

私は脂汗を流しながら奴が気付かずにトイレから出ていくのを待ちました。

尻の穴の中に隠れた子は息苦しそうにしていましたが、心を鬼にし、私はより一層括約筋に力を入れました。

水が流れ、流しで手を洗う音が聞こえます。ペーパータオルがくしゃくしゃと潰され、まるで私を見つけられなかったことに対する当てつけのようにゴミ箱に捨てられた様が手にとるようにわかります。

入り口が再び開き、静まり返るトイレ内。一呼吸おいて私はようやくその肛門を解放しようと安土しかけたその瞬間でした。

 

ブピィッ!!

 

まさかの先客。

隣の個室にも誰かがいたのです。

私は今一度緩みかけていた肛門を締め上げ、思わず冷や汗と脂汗が混じった顔を拭います。

汗水一滴垂れただけでもその音で何者かが察知し、襲いかかってくるかもしれない……。

隣で思わず音を漏らしてしまった人物は何者なのか――ロダンのごとく私はそのまま顎に軽く丸めた拳を添えて壁の向こうを睨みつけました。

トイレ内には静寂の音が響きます。

刹那的に聞こえた排泄音は間違いなく壁を隔てた向こう。位置関係を考えれば私に背を向けた状態で奴は座っているわけで状況は圧倒的にこちらが有利。

奴が先に出すか、こちらが先に出すか――決着は一瞬です。

仮に奴が先に入って私を待ち伏せしていた敵でなければ、仲間である可能性も考えられます。

しかしながらどちらにせよ向こうも扉を隔てている以上、姿さえ見せなければ悟られることなくトイレから脱出することが可能です。

私はやつの不意を突き、勢いよく子供たちを逃し、流し、未だ糞便にかまけている奴を文字通り尻目にして早々に、且つしっかりと手を洗ってトイレを後にしました。

後ろから聞こえる音は焦る排泄音と私が使用したウォシュレットが帰すべき場所に戻っていく機械音のみ。

私は無事誰にも見られ、悟られることなく排泄をし、人としての尊厳を守り抜くことができたのでした。

 

このどうしようもなく平和で殺伐とした世界では今もどこかで誰にも悟られることなくうんちを放り出している人がいます。

皆さんが今日もまた尊厳を守りつつ、生き長らえることができるよう祈ります。

【おおブリネリ】

おおブリネリ 排便のタイミングはいつ?

私は一人で 放り出したいのよ

誰にも知られず 放り出したいのよ

ヤーッ!!

ホーッ!!

ホトゥラララ!
ヤッホ ホトゥラララ!
ヤッホホ!

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