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美味しいチャーハンを求める旅の始まり

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ご挨拶(ノーマル)

おはよう、皆の衆。定次さんです。

先日、友人から昼食に誘われましてね。

その時私はちょうど記事を手掛けている最中だったこともあり、作業を中断するのもどうかということで今ひとつ気が乗らなかったんです。

しかし友人が言うには「近場にお昼限定で500円のチャーハンを出してるお店がある」という話で、どこか特別な感じもあることからついその手を止めて話に乗ることとしたのです。

 

詳しい話を聞くと、どうやらそのお店は通常別の飲食店として営業していながら、昼だけは特別メニューとしてチャーハンとラーメンだけを提供しているだとか。

例えるなら、『普段うなぎ屋をやっているお店が昼だけ蕎麦屋を開いている』的なお話でしょうか。

そんなニュアンスの話というものは基本的にその限定メニューが妙に美味しくて人気というのがテッパン。

友人も噂だけ耳にしていて初めて行くということで全容はわかりませんでしたが、到着する前から一体どんなチャーハンが提供されるものなのか高揚が止まりませんでした。

 

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週末の正午をちょうど過ぎた頃、昼食時として最も混雑が想定される時間帯に目的地へと向かう私達。

車を数分走らせるものの、景色は段々と住宅街に変わっていきました。

「こんな住宅ばかりのところに飲食店なんてあるのだろうか?」私は徐々に首を傾げていくのですが、友人は間違いなくこの先にあるものだと言い張ります。

 

そして住宅が立ち並ぶ路地の中を更に数分走ったところで見つけたお店。

交差点の角にぽつんと立つその佇まいは私達が走らせた車から見てちょうど後ろを向くように建っており、下手をすれば通り過ぎてしまうようなくらい周りの景色に馴染んでいました。

 

話を聞いてから車を走らせるまで随分と高揚していただけ、だいぶハードルが高くなっていたのでしょうか。

ぽつんと立つそのお店は想像よりもずっとずっと小ぢんまりとしたもので、あまり飲食店を感じさせないくらいに古めかしさがありました。

敷地という敷地も非常に狭く、車が1台やっと駐められるかどうかといった程度。

勝手に混雑しているものと思い込んでいたものだったので、まっさらな駐車スペースを見て本当に営業しているものなのかと店の前に立ってからも疑問を呈していたのは言うまでもありません。

しかし目の前にあるそのお店はまさに今この時、入り口で暖簾を垂れ下げています。

浮世絵巻くらいに色褪せた暖簾をくぐってガラガラと引き戸を開ける私達――、店の前から見て思った通り店内には誰一人として客はおらず、少し幸の薄そうな顔をした店主が目を丸くしたような反応で「いらっしゃいませ」と出迎えました。

 

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壁際に並ぶテーブル席と、それに背を向けて並ぶカウンター席。私達はそんながらんとしたカウンター席のど真ん中を陣取り、少しばかり困惑をしつつも、はにかんだ雰囲気で雑に書かれたランチメニューを指差しました。

そこには噂通りチャーハンとラーメンの文字が。そしてそのその横に書かれた価格も噂に違わずワンコインで設定されています。

メニューをよく見ると加えて+100円で大盛りに変更することができる様子。

折角だからということで、私達は大盛りのチャーハンを2人前頼みました。

 

ポツポツと弾む会話――、目の前では店主がサクサクとネギを切り始めています。

店内に流れるのはちょうどお昼時のワイドショー。どうやらカウンターに座る私から見て右斜め上の方にテレビが設置されているようなのですが、ちょうどビールサーバーが邪魔になって全く画面が見えません。

元々テレビ番組を見る人間ではないのでどうという話でもないのですが、テレビ画面を隔てるように大きく置かれた機材の存在に「お店としてこれで良いのだろうか?」とついつい考えます。

 

そんな至極どうでもいいことを考えつつ、現実的で非合理的な会話を弾ませている間にチャーハンが出来上がりました。

大盛りを2人前で頼んだものだったので、出来上がりの際は別々で渡されるものかなと気にしていたのですが、2人分同時に渡されたことでどことなく安堵が漏れます。

 

――パンの購入キャンペーンで貰えそうなまっ白な皿に盛り付けられた注文の品。

最初大盛りを頼んだ時、もしかしたらお店によっては想定外のボリュームの料理が出される可能性もあるということから、安易に大盛りを注文するべきではなかったかもしれないと懸念したものでしたが、出てきたチャーハンは逆にこれが大盛りなのかと疑わせるほどの量でした。

「これ、本当に大盛り?」

対面で渡されている以上、どうしても強気になれず、ついつい浮かんでしまった疑問をそのまま飲み込んでしまったのですが、出されたチャーハンの見てくれはどことなく貧相な姿をしていました。

 

しかし肝心なのは味。

パラパラとした口当たりと、ホクホクとした湯気を頬張るジューシーさを求めるのが本来のチャーハンというものですが……目の前のそれはどうもその雰囲気を微塵も感じさせてくれません。

もっさりとスプーンで掬い、口に運ぶ――……咀嚼する度にぺとぺと、もちゃもちゃとした食感がチャーハンと真逆の存在意義を主張してきます。

加えて合間合間に現れる少し硬い部分――チャーハンにおこげってあっただろうか?私は噛む度にどう反応して良いものなのかわからなくなっていました。

 

見えないワイドショーの音と、カチャカチャと食器が擦れる音だけが響く店内。時折、話題を振り絞ろうと「うん、うん」と頷く声が漏れました。

頭の中にあるのは「本当にこれはチャーハンなのか?」という疑問ばかり。言葉に出せない雰囲気として私の中ではひたすらに「家で作れる」だの「ただの炒めた飯」といったボロクソが飛び交います。

ただ、そのまま勢いで食べてしまっては興も冷めてしまうというもの――、普段の食事風景からはとても考えられないくらいじっくりと噛み締めて食べきり、ご馳走様と1,200円を支払ってお店を後にしました。

 

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店を出て車に乗り込むと同時に溢れてくるやるせなさ。

友人と顔を見合わせ、思わず私達は「思っていたのと違った」と意見を合致し笑い草へと変えました。

 

+100円したとは言え、基本ワンコインで食べられるチャーハンというものはなかなか魅力的なものです。

そして専門店ではないお店が限定的に出しているメニューというのもまた底知れない魅力があるものです。

しかし現実にはそんなテンプレートを完全に無視した当たりハズレが存在するもので、今回は良い勉強となる食事となりました。

 

これをチャーハンだと言い張るのであればきっともっと美味しいチャーハンを食べる機会が近い内に得られるでしょう。

普段私はチャーハンを好んで食べることはしないのですが、今回を機に見聞を広めたいという欲が生まれました。

私はこのチャーハンのようなものを食べたことで一層に美味しいチャーハンを専門のお店で食べてみたいと考えるようになりました。

いつかこの先チャーハンとは一体どんなものかという真髄をこの身で体感したいと思います。

 

本当に美味しい本物のチャーハンとはどんなものだろうか……私の見る未来には今よりも明るい世界しかないでしょう。