Place of down.but,looking for the down.
夢の中に三遊亭小遊三と三遊亭好楽が出てきました。
夢の中でも勿論彼らは有名で、一歩進むたびに人だかりが大きくなるほど人気でした。
私も是非ともコンタクトをとりたいと思い、必死で人だかりをかき分け、ようやく彼らの元へと辿り着きました。
彼らはファンサービスに前向きで、私が声をかけると笑顔で受け答えをし、生意気にも3ショットをお願いしても快く対応してくれました。
チェキを片手に私が真ん中。両サイドには両師匠が。
周囲から羨望の眼差しを受け、優越感に浸りながらこぼれ落ちる笑顔を切り取るべくシャッター音が鳴り響きます。
――その瞬間、彼らはフッと姿を消し、周りの人だかりも消えてしまいました。
今まで立っていたであろう場所は暗く寂れ、今にも崩れ落ちそうな廃墟へと変貌していました。
確かにここで、この場所で写真を撮った。2人は確かにいたし、周囲も盛り上がっていた――私は自身の記憶に確証を持つべくチェキから出てきた写真に目を凝らします。
真っ黒の紙っぺらから徐々に写し出されていく光。
そこには廃れた建物の中で一人満面の笑みで写る私がいました。勿論両側には彼らどころか誰も立っていません。
私は酷く悲しくなりました。あんなにも楽しい瞬間だったのに、あんなにも気分は高揚としていたのに、まるで絶望の淵にでも突き落とされたような感覚が一気に押し寄せてきました。
何者かに取り憑かれていたのか、ただ幻想を見ていただけなのか…何にせよその恐怖に勝るほどの悲愴が私を苛め、そしてそこで現実へと引き起こしました。
勿論現実の世界に彼らはいません。起きて即座にあれは夢であったと気付けるほど印象の強い夢であったと認識もしました。
しかしそれ以上に起きた時の喪失感が凄まじかった。2人のファンであるというわけではありませんが、笑点をよく見ていた故に辛いものがそこにありました。
昨日、私はそんな悲しい夢を見たのでした。