彼らは好き好んで湯切り口にいるわけではないのだ
おはよう、皆の衆。定次さんです。
先程少しだけ所用で外の風に当たったんですが、こんな時期は深夜帯に散歩をするのも悪くはないかなという思いに耽けられましたね。
翌日の仕事が休みなら尚更です。次の日が仕事だからそんな余裕は持っていられない。深夜の散歩は社会の毒です。
できもしないロマンに浸ろうなんて甘い話です。
社会の歯車共はそんな話よりも、私がゼリーを陶器に乗せた時の後悔の話に耳を傾けるべきです。
――そのゼリーは大きく、大味で、そして何より安価なものでした。
当時私はそのゼリーをいかにして食べるか模索していました。
その物体は蓋を開けるやいなや汁を溢れさせるほどミチミチに満たされていて、ボリュームで言えば素晴らしいものでした。
そんな一杯に入った容器に直接スプーンを突っ込んで食べるのも悪くはないかとは思いましたが、スプーンを突っ込んだ際に内容物をこぼしてしまってはナンセンスの極み。
ここは安全策、且つ美的にいこうと私は皿に移し替えて食べることとしました。
しかしこれが間違いでした。
我が家にはプリンなどを食べるに丁度いい小鉢(ボウル?)がありません。
ないこともないですが、理想はガラス。少なくとも陶磁製の小鉢がほしいところです。
しかし我が家にはそれがない。あるのは樹脂製の小鉢か、あるいはパンを食べまくったら必ず貰える丈夫な白い皿のみ。あとは呑水。
この中で一番理想に近いものは何かと考えたらお皿でしょうか。
少し考えた後に私は真っ白な皿をキャビネットから引っ張り出し、迷わずその上にゼリーをぶちまけました。
溢れんばかりに満たされた汁も溢れることなく全てキャッチし、その広さからゼリー本体に自由を与えつつ逃さない…完璧な選出であったと確信を持ったつもりでした。
しかし理想とは簡単に届くものではありませんでした。
皿の上に乗ったゼリーをいざ食べようとスプーンでつついたところ、まるで嘲笑うかのようにツルツルと器の中を滑り回り、こちらのスプーンを華麗にいなします。
スプーンが入らない…おまけに汁も暴れ狂う本体に押し出されて皿から溢れる始末です。
この手のスイーツはスプーンでお上品に頬張るのが定石であるというのにまるでそれを許してくれない。
結局私は指で片側を抑えつつ、固定した状態のところにスプーンを突き刺しては食べるというお上品さからかけ離れた食べ方でゼリーを食す羽目になりました。
挙げ句、面倒くさくなって皿に直接口をつけて盃のように流し込みましたからね。
望み通り頬張ることは出来ましたが、私の望んでいたゼリー像とはかけ離れた結果となってしまいました。
今はもう満たされてしまったので当面の間ゼリーを食べる気は起きませんが、皆さんもゼリーを食べる時は食器の選び方に注意をしてくださいね。