意外にも大人向けの味?ちいかわカレーを実食!
おはよう、皆の衆。定次さんです。
皆さん、カレーは好きですか?
もしかしたらカレーは皆さんのことが好きではないかもしれませんが、それでもめげずにカレーのことを愛する皆さんは偉いと思います。
かく言う私もカレーのことは好きですが、皆さん同様にカレーに好かれているかどうかは全く分かりません。
別の世界線に生きていた私も、嘗ては学校帰りに下駄箱に詰め込まれたカレールウにラブレターを入れて台無しにした経験がありました。
カレールウに入れられてふやけてしまったラブレター……中身は呪詛が書かれただけのラブレターに見せかけた怪文書だったわけですが、それを見たカレーさんは思わずショックを受けて不登校になってしまいました。
カレーさん向けに書き綴った手紙……気持ちを伝えるだけで満足と考え、後は身バレを恐れて差出人の名前は偽名を使ったのですが、後日カレーさんの下駄箱に怪文書を仕込んだ生徒は誰かと大問題になって全校集会が開かれた際、差出人の名前が確たる証拠として田中君が晒し者になってしまったのは悲しい思い出です。
全校の前で公開処刑された田中君。普段の素行には何一つとして問題はなく、寧ろ真面目に授業に取り組む生徒だと評判でしたが、この一件で評価は地に落ち、学校内を歩けば誰からも石を投げられてしまう生活へと変貌。肩身が狭いどころではなくなってしまった学校生活に耐えきれなくなったために彼も遂には学校へ来なくなってしまいました。
後日、親御さんが物凄い剣幕で学校側に乗り込んできたのは言うまでもありません。
「うちの子が学校に行かなくなったのは学校のせいだ」
「うちの子のようないい子が他の生徒に嫌がらせをして不登校をさせているはずがない」
「真犯人はもっと他にいるはず。今からでも探し出してこい」
職員室の隣りにある応接室を覗き込んだ際に見かけた光景……何の根拠もなく感情論だけでまくし立てるその田中君の親御さんの姿が今でも目に焼き付いています。
――ある日、私は学校のプリントを渡すために田中君の家に行きました。
田中君の存在を知ったのは全校集会の時。他校に所属していた私はそれまで田中君と話すどころか顔すら知りませんでした。
学校の授業が終わってからというもの、田中君の所属する学校に立ち入ってはホームルームで配られるプリントを多めに受け取り、その帰りの足で田中君の家へと配りに行く……そんな毎日を過ごしていた時のことでした。
「いつもありがとね」
玄関先でにっこりと笑って出迎えてくれた田中君のお母さんはその日、どういうわけか私を家の中へと入れてくれました。
その日は別に急ぐ理由もなかったため、お言葉に甘えて――と常套句をモゴモゴと口ずさみながら家の中へと入りました。
促されるがままに田中君の部屋へと案内される私。少し狭く、薄暗い階段を上りきった先に光が漏れている一室がありました。
「今日は……ちょっと元気があるみたいだから、少し顔を見せてもらえるかしら」
少しはにかんだ様子を見せて踵を返し、トントンと階段を降りていく田中君のお母さん。
いきなりのことに驚かないかなと思いながら、慎重にドアを開けて田中君の前へと顔を出しました。
「君、誰?」
元気だと聞いていたので喜んでもらえるかと思ったのですが、想定外の冷ややかな態度に私も思わず声を詰まらせてしまいました。
一瞬時が止まったかと思えば、一瞥をくれた後はたちまちそっぽを向いて田中君はゲームを続けます。
そもそも私は田中君と同じ学校の生徒でもなければ面識があるわけでもない。
これまでは「学校の子がプリントを持ってきたよ」と親御さんを介して話を受けてきただけで、私自身の存在なんてまるで認知されていなかったのでしょう。
そんな中で急に顔も知らない私が同じ内容のプリントを何枚も抱えて知ったような風で部屋に入ってこようとしてきたものですから、「誰?」なんて反応をされても何一つとして不思議なことはありません。
急に現れた私にまるで興味を示さない田中君は尚も激しい音を立てながらゲームを続けています。
世間から隔絶されてしまうとこんな人間になってしまうのか――と私はそんな風に思いながら、入り口に腕だけ差し入れてプリントを置き、みんな学校で待ってる旨をボソリと呟いてその場を後にしました。
「あら?もう帰るの?」
階段を降りたところで洗濯かごを抱えて忙しそうにするお母さんと鉢合わせる私。
意外そうな、少し驚いたような表情を見せてお母さんは再び私を見てにっこりと微笑みます。
「折角だからご飯食べていかない?」
夕飯に誘われるとは思ってもみませんでした。
どうせこのまま家に帰っても特にイベントも何もないでしょうし、何なら丁度お腹が減ってきたところ。
少し戸惑った態度を見せながら、私は折角だから――とお母さんに促されて夕飯をご馳走になることにしました。
他人の家に上がるだけに留まらず、台所にまでお邪魔するのは何とも不思議な感覚です。
本来であれば他人が上がり込まないような場所にまで足を踏み入れるというのは日常ではあまり経験しないこと。
少しばかり使い込まれた様子が伺えるダイニングテーブルに座らされ、キッチンで料理を作っている田中君のお母さんの背中を見ながら落ち着かない様子で私は料理が出てくるのを待ちました。
膝は手に、背筋は伸びているものの、どうしても視線は色々なところを見てしまいます。
緑と白のチェック柄が広がるテーブルを挟んだその向こうでは小さくテレビ番組が映っているリビングが見え、その前では田中君のお父さんが座布団を枕に寝転んでテレビを見ています。
冷蔵庫にベタベタと貼り付けられた得点シール、整頓されているようでゴチャ付いている調理器具、地味に目に入る天井近くの細かな油汚れ……他人の家で出された料理を食べることができるのかと徐々に不安を覚えていく私でしたが、暫くして目の前にカレーが置かれました。
「遠慮しないで食べてね。おかわりもあるからね」
ご馳走になるのは良いものの、誰も座らないダイニングテーブルで一人出されたカレーを食べるのは流石に想定外でした。
お母さんは変わらず夕食の支度で忙しそうですが、時折こちらの様子を窺っては田中君との関係や学校の雰囲気について聞いてきます。
「あの子、久しぶりに君に会えて喜んでいたでしょう?」
食べる手を止め、無言で頷く私。
「あの子、大人しそうに見えるけど結構おしゃべりなところもあるのよ」
「普段学校ではどんなこと話してるの?」
スプーン咥えながらとぼけた顔で首を傾げる私。
「そうね……色々迷惑かけちゃうけど、これからもあの子のことよろしくね」
スプーンを咥えながらお母さんの方を向いて軽く微笑む私。
残りはもう3口くらいか、私はささっとかきこむように口に入れ、小さくごちそうさまでしたと呟きます。
スプーンを置いてそわそわと落ち着かない様子を醸し出す――、そろそろ家に帰ろうとする私に「もういいの?」と田中君のお母さんはシンクで濡れた手を拭きながら不安そうな顔でこちらを見つめます。
「家まで送っていかなくて良いかー?」
リビングからも声が聞こえてきますが、私はそそくさとありがとうございました、ごちそうさまでしたと言って深々と頭を下げて田中君の家を後にしました。
田中君は元気になるだろうか――……家路に就く途中、そんなことを考えながら今日食べたカレーの味を思い出します。
――他人の家のカレーの味は普段食べ慣れた味とは全く異なる味。
雰囲気に圧されたために詳細な味こそ思い出せませんが、その日私は特別なカレーを食べました。
同じ見た目をしていながら、全く異なる顔を見せる料理……それがカレー。
今回の記事ではそんな妄想話で感じた、カレーの見せる異なる表情について検証していきたいと思います。
ン・・・
え?買ったの!?
『ちいかわカレー』!!
フ!!
美味しそうだけど・・・
『中辛』だって!!
もしかして・・・結構辛いのかもッ
折角だから食べてみよッ!!
ウン!!
ワ、ワァ・・・
エ!!かけちゃったの!!?
チーズ!!
ウ、ウン
それってもしかして・・・
台無しってコト!!?
エ!エ!?
わ、わァ・・・ぁ・・・
泣いちゃった!!
ざまぁねぇや!
まぁ普通に美味しかったからセーフ。
みんなも食べてね!