空飛ぶベーコンエピ、宇宙へ
彼が誰かはわかりませんが、彼は言ったんです。彼は言ったと。私はそれに対して彼は言ったと認識し、すかさず彼は言ったと答えました。すると彼は言いました。彼は言ったと。そう、彼は言ったのです。彼が言うことは全て彼の言うこととなり、結果、全てが彼の言ったものが彼の言うこととなるのです。私は言いました。彼は言ったと。
小学生の頃、私はSFを彷彿とさせる夢の中で大きな機体に乗り、操縦桿を握っていました。
宇宙を舞台にした壮大な戦い。一人の戦士として果敢に戦う私は飛び交うビームの最中、主砲を構え、敵艦に向けて発射する機を窺っていました。
ここだ!!とばかりに操縦桿を強く握り、主砲の発射ボタンを押します。
「ビーム砲発射あああああああああああああああああああああ!!」
現実の世界で叫んでいたかどうかはわかりません。しかしそれほどの気迫があったと覚えています。
力を込めれば込めるほど、濡れていく私の下に敷かれた布団。
夢の中の私はそれにも気付かず尚も尽きない弾をフルパワーで放出し続けていました。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
握る操縦桿に一層力が入ります。
力が入れば入るほど現実世界の膀胱は締め付けられ、容赦なく布団を湿らせていきます。
夢世界のビーム砲と現実世界の小便がリンクしていると知ったのはこの時でした。やりきったように目を覚ますと下半身がずぶ濡れになっていることに漸く気が付いたのです。
小学生時代と言えど、これほどまでの寝小便をするとはまさに夢にも思わなかったでしょう。これまでも、これからもこれ以上の寝小便に出会うことはないと思います。
歳を取るにつれて排尿のキレは衰えていきます。
子供の頃は力いっぱい小便を放っていて、いかに遠くから便器へと小便を垂れることができるか競ったものです。
子供の頃のあの勢いを忘れたくないものです。