【オートミールと暮らす】乾燥具材によるアレンジ
向こうの方で電気ケトルがグツグツと音を立ててお湯を沸かした。
さて、今から私は朝食にオートミールを食すのだが、準備が整った今も未だに味付けを何にするか決めあぐねている。
何か具体的なビジョンを持ってオートミールの味変を試みることができればいいが、味変という工程は穢れのない無垢なオートミールにとってはそれが全てであり、それ以外の何物でもない。
つまるところ、今から行うことはオートミールを食すにあたり、モチベーションのほぼ全てを決めてしまうと言っても過言ではないのだ。それ故に決めあぐねている。
朝の忙しい時間に考える余裕はない。こうしてまっさらなオートミールを目の前にして腕を組んでいる最中も刻一刻とタイムアップは迫ってきているのだ。
先程はビジョンを持って〜と話したが、実を言えば今回オートミールを食すにあたり明確な目的が一つだけある。乾燥貝ヒモの導入である。
最近スーパーで買い物をした際に見つけたのが乾燥貝ヒモ。間食をやめられない怠慢な私にとっては赤ん坊に与えるおしゃぶりのように都合のいい"おやつ"だった。
これをオートミールの具材として入れてみてはどうだろうかという魔が差したのが今朝。そしてそれに合う味付けを考えているのが現状である。
時間のプレッシャーに負けた私はようやく味付けをピリ辛スープの素に決めた。貝ヒモとは間違いなく相性の良い味付けだろう。
後はお湯を入れた際にどれだけ貝ヒモがエッセンスを出してくれるかにもよるが――あまり期待しない方が得策だろう。
――色々と考えを巡らせながら、今しがた私は今回のオートミールを完食した。
やはりピリ辛スープの素はオートミールとの相性が実に良い。前回オートミール日記を投稿してから随分と経つが、その間も味付けの研究は怠らなかった。そして結果として乳白色系以外のスープの素であれば基本的に相性が良くなることに気が付いた。
そして今回のオートミールもそれが全てであり、それ以外の何物にもならなかった。
貝ヒモは何も役に立たなかった。無難な味付けがされたオートミールの中でくすぶる邪魔な食感でしかなかった。オートミールに混じっただけの貝ヒモとなったのだ。
強いてフォローを挙げるのであればふやけて食べやすくなっていたくらいだろうか。しかしそれが食感を大事とする貝ヒモにとって良い結果となったかはわからない。恐らくもっと長い時間お湯に浸けていればダシも出ただろうが、朝の忙しい時間帯にそんな余裕はない。
今回もまたオートミールは失敗を学んで口の中へと流し込まれていくのだ。