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夢で見た話 vol.2

夢で見た話

ご挨拶(ノーマル)

おはよう、皆の衆。定次さんです。

『他人の夢の話ほどつまらない話はない』とはよく言ったものですが、果たしてそれは本当なのでしょうか?

これは私が見た夢の話が面白い内容だったからという自負ではなく、これまで第三者が見た夢の内容を聞いた際につまらないと思ったことがないという経験則から考えているわけですが、実際に私が見た夢を皆さんに話して面白いと思ってもらえるのかどうかは夢日記を書く度に疑問に感じているところでございます。

 

夢の話というのはほぼほぼ空想上のお話……つまるところ妄言であって、非常に創作性の高いお話です。

皆が皆、普段から小説の類を読んでいるかどうかはわかりませんが、創作話を読んで楽しんでいることができるのであれば夢の話もまた面白いと思われて必然であると考えられます。

通常の創作と異なる点としては、文言として他者に伝える際に当人の頭が覚醒しているか否かというくらい。

これまで他人の夢の話を聞いてつまらないと思ってきた人は単に話し手の説明が下手であったか、本当につまらない話であったか――もしくは人生の目標的な意味合いの夢を押し付けがましく聞かされてきただけでしょう。

実際問題、夢の話を伝えようとすると当人の一人称視点を上手く伝える必要がありますし、朧気な記憶の断片を組み合わせなければならないので、一つの話として表現するには非常に難儀なものだと思います。

しかしながら、当人からしてリアリティを実感した空想ほど話の種になるものはなかなかないでしょう。

いかにしてその話の種を上手く育てられるか……私はこの企画を通じ、夢で見たお話を一つの読み物として皆さんに面白く伝えられればと思っております。

 

――その日、私が見た夢の記憶は途中からとなっていて、それまでの夢の内容は覚えておりません。

ただ、その途中からの記憶は回想のように靄がかかっていて、屈強なプロレスラーのような男性が子供たちに語り部として話し始めるところから続いていました。

何人もの子供たちから面白い話をするようにせがまれ、提案するように男性は過去の英雄の話をし始めます。

 

回想の中、私は遠目が霞がかるほどだだっ広いフロアに立っていました。

いくつもの棚やハンガーが並べられているのを見ると、どうやらそこはショッピング施設の一部。

回りには結構な数の人が練り歩いていて、特別決まったグループこそありませんが、団体的な行動をしているのが見られます。

 

暫く様子を見ていると、視界が消える遠い白いモヤの向こうが何だか妙に騒々しい。

人々の叫ぶ声や何者かが暴れまわる音、それは徐々にこちらに近づいてきており、私はその光景を伺っていました。

 

――急に目の前を横切る大きなイノシシ。

 

広いショッピング施設のフロアと言えども、営業している様子はありません。

閉店用の仕切りとして使われていたのか定かではありませんが、目の前に広げられた商品用のネットを前にイノシシは方向を変えて私の前を横切っていきました。

その大きさは人よりも遥かに大きい。まるでもののけ姫に出てくるオッコトヌシのような風貌。

遠いモヤの向こうでは尚も阿鼻叫喚が聞こえますが、どうやらイノシシはこのネットを越えてこちら側へと来たい様子で、何度もネットの前で右往左往を繰り返しています。

こんな大きなイノシシがこちら側に来て暴れ回っては大変だと言うことで周りの人達は何とかしようと躍起になっているのですが、どうも止める手立てがありません。

 

そうしている内にネットが緩み始め、捲れたところから徐々に隙間が広がり始めました。

 

このまま右往左往を繰り返されたらこちら側に来られるのも時間の問題……気が付くと私は手に持っていたショットガンをイノシシの横っ腹に放っていました。

ビヒィ!と叫び声こそ上げるものの、まるで微動だにしない。何度も折り返す度にショットガンを撃つのですが、弱るどころか一層激しく暴れてしまいました。

そして遂にはネットも捲れ上がり、こちら側へと入り込んでしまったイノシシ。その巨躯だけでなく、口元から生えた大きな牙がその悍ましさを物語ります。

回りをキョロキョロ見渡すやいなや辺りの人にめがけて突っ込んでくるイノシシ。周りの人々も狼狽え、逃げ惑うばかりです。

「イノシシ相手に抵抗をしないのか?」と私は人々に問いただすのですが、「イノシシが人の赤ん坊に化けるから手が出せない」という理由から手が出せない様子。

赤ん坊に化けるという理由がいまいち理解できないところですが、遂に標的が私に向けられ、棚を吹き飛ばしながらイノシシは一直線に突っ込んできました。

イノシシの突進は真っ直ぐにしか進まないもの。辛うじてではありますが、私はその突進を避け続けました。

尚も突進を続けるイノシシ。正面からぶち当たり、牙を掴んでバックドロップを決める私。赤ん坊に化けるイノシシ。それでいて尚も突進を続けるイノシシ。回避しつつ、背中に何度もナイフを突き刺す私……遂には馬乗りになり、赤ん坊の頚椎を力任せにへし折ることに成功しました。

実際に倒してみると意外と小さかったイノシシ。最初に見たオッコトヌシのような姿は一体どこにいったのか……何にせよ私は人間に害をなす獰猛な獣を倒し、皆の英雄となりました。

無傷で倒したかと思えば実はそうではなく、気が付くと左腕が持っていかれていたのですが、これもまた英雄として箔がつくもの思い、そのまま私は赤ん坊に化けるイノシシ狩りの英雄として讃えられました。

 

……片腕を持っていかれつつも獰猛なイノシシを倒した私の話。

プロレスラーの男性は子供たちに語り部としてその話を自慢気に伝えていましたが、子供たちはつまらなさそうな顔をしてどこかへと去っていった――というところで私は夢から覚めたのでした。

結局何の話だったの?

こっちが聞きたい。