真っ暗トイレはこわいこわいの巻!
おはよう、皆の衆。定次さんです。
仕事が片付かない!
仕事が終わらない!
なかなか帰れない!
そんな悩みを抱えながら毎日を過ごす人、世の中にはたくさんいると思います。
もちろん私もその一人。命を削りながら夜遅くまで仕事に明け暮れる毎日をここ最近ずっと過ごしております。
身を粉にして働く……命を削ってまで毎日の生活を維持するために戦う企業戦士に当てはめた何とも物悲しい比喩表現ですが、かくいう私の歩いた後にも山のように粉が降り積もっているともっぱらの噂です。
人々はそんな私からこぼれ落ちる貴重な粉を我先にとかき集めて小袋に詰め、万病に効くと思い込みながら渋めのお茶に溶かして飲んでいるそうですが、最近ではビルの間でたむろする若者たちから向精神薬の一つとして常用することがブームになっている様子。
ネットオークションで1gあたり3円が相場という噂の私の命を削った粉。
グラニュー糖と混ぜることでほのかなグラニュー糖の甘みが感じられると巷で人気だそうです。
――さて、仕事も遅くなるばかりで残業の日々を送る私ですが、会社の事務所が置かれている建物はあまり遅い時間になると電気が消えたり自動的に施錠されるといったシステムになっていて、あまり遅くまで残っていると警備会社に通報されたり閉じ込められたりとなかなか大変な部分があったりします。
もちろんそんなセキュリティ以外の面でも、人の少ない夜の時間は節電を名目にトイレの電気なんかが消灯されているなどされているわけですが、そんな時間でもやはり人間トイレには入りたくなるものでして、もちろん電気は点くのですが、そんな時間にトイレを使った場合、基本的にセルフで消灯をするマナーが暗黙の了解となっています。
先日の私は人もすっかり少なくなった夜の時間に個室便所へと入り込んで盛大に大便を踏ん張っていました。
人が少なくなっている時間帯ということもあって気兼ねなく大便を踏ん張れるものですが、この時は珍しく誰かがトイレに入ってきました。
扉の向こうで疲れた雰囲気を醸し出しつつ、小便器に向かってジョボジョボと小便を垂れ流していたのが個室の中から伺えたのですが、気が緩みきっていたのか、私が個室を使っているにも関わらず全く気づかない様子で出ていった際にトイレの電気を消していってしまったのです。
太陽も沈みきり、もう既にとっぷりと夜に浸かった時間帯。
トイレには小窓こそありますが、最近は何かしらの工事の関係で窓のすぐ外にはプレハブ小屋が日照権を奪うように佇んでいます。
そんな閉鎖的な空間と化してしまった場所なものですから、もちろん電気が消されてしまった時には何一つとして明かりのない真っ暗な場所へと変わってしまいます。
照明を消されてしまって真っ暗な中に閉じ込められた私は咄嗟のことに声も出せず――とは言え、ひり出している最中なものなので当然その場を立ってトイレの外にある照明のスイッチを押しに行くこともできず、ただただ慌てふためきながら前傾姿勢をキープして真っ暗な空間で一人ポトポトと出の悪い便を踏ん張るしかできませんでした。
――スマホの明かりを頼りにウォシュレットのリモコンを探し、誰もいない真っ暗なトイレの中でカラカラとペーパーホルダーを駆けるペーパーの音だけが虚しく響いていた夜のトイレ。
子供時分であれば心底怖い空間だったに違いない場所も、社会にもまれてオバケよりも怖いものを知ってしまった大人となった今では何だか逆にワクワクさせてくれるような新鮮な空間へと感じられるようになっていました。
真っ暗な中で踏ん張る自分。仮に人ではない何かが頭の上から覗き込んでいたとしても、きっと私にとっては恐怖以上に面白さが勝る体験となっていたでしょう。
「そうだ、これをネタにしてブログの記事を書いてやろう」
オバケよりも何よりも、ひん曲がったジャーナリズムを持つようになってしまった自分自身が最も怖いと知ることができた1件でした。