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【ホラー】爪切りを置いたのは誰?

tsumekiri

ご挨拶(ノーマル)

おはよう、皆の衆。定次さんです。

本題に入る前に少しばかりの与太話なんですが、私はどうも人よりも腸が弱い部分がありましてね。

お腹を冷やせばすぐに腹を下しますし、日頃の食事においても少々苦労をするところがございます。

人間の腸は体内で複雑に曲がりくねってひしめき合うように詰め込まれておりますが、私の腸は十二指腸を通ってからはダイレクトに肛門まで真っ直ぐ伸びているのではないかとのもっぱらの噂でして。

別の世界線で圧倒的な権威を持つ学者が私のコピーの体の中を切り開いて覗いた際、そのあまりの異界っぷりに思わず近くの酒場で笑い話の種にしたという話も聞きますが、その真相は定かではありません。

何にせよ私の体の中で消化不良を引き起こすようなインフラ整備が行われていたのであればとんだ迷惑な話です。

消化物の中には峠道のようなグネグネとした道をゆっくりと、栄養や水分を搾り取られながらドライブしたいものもいるはず……宿主のためにも腸内環境は健康的に整備してもらいたいものです。

 

さて、少々話が逸れてしまいましたが、腸が弱い私にとって昨今の猛暑はなかなかどうして悩ましい存在でして。

何故頭を抱えてしまうのかはその暑さで気が狂ってしまいそうだから――という訳ではなく、その体調管理の難しさにあったりします。

暑いと水分補給が必須となりますが、腸の弱い私はあまり沢山水分を補給してしまってはすぐにお腹を下してしまいます。

勿論、常温の飲み物をゆっくりと少しずつ飲めば何の問題もないわけですが、やっぱり暑い時はキンキンに冷えた飲み物をガブガブと飲み干すのが気持ち的にも感覚的にも満たされるものがあるでしょう。

自身の体調とその時の充足感、この2つを天秤にかけるのであれば私はきっと充足感に重きを寄せると思います。

生ぬるい水をちびちびと飲んで過ごす夏のどこに楽しみがあるものでしょうか?

夏の夜のジメッと蒸し暑いイベント会場のテントの中で盛大に盛り上がる雰囲気の中でキンキンに冷えたバドワイザーを一気に飲み干してしまいたい――、そんな気持ちを抱えて今宵の猛暑も乗り切っていきたいものです。

 

そんな水分補給の連続で腹を下してばかりの私ですが、最近はパックで飲む果汁ジュースに少しばかりハマっております。

恐らくは以前に投稿した記事の中でお話した『冷房の効いた自動車ディーラーで飲むオレンジジュースの魅力』がきっかけになっているのではないかと思われますが、あまり飲みすぎると糖分過多になってしまうので、マイブームもそこそこにしておきたいとも考えております。

該当の記事はこちら。
読んでもあまり得はないです。

そして本日もそんな調子でキンキンに冷えた果汁ジュースをガブガブと飲みまくっていた私でしたが、案の定お腹を下してしまい、トイレに閉じ籠もりながら神様に祈りを捧げる時間を設ける羽目になりました。

軟便どころの騒ぎではない、蛇口でも捻っているのではないかと思えるくらいに流れ出る排泄物。

やがて弾も切れたのか、ガスも混じえて汚い濁音を発しながら騒ぎは収束を迎えました。

ウォシュレットでヒリヒリと痛む肛門を洗い、いつも以上に多めに取ったペーパーでツンツンと、且つ、えぐるように拭ってからパンツを持ち上げ、レバーを持ち上げます。

勢いよく流れていく汚水を眺めながらトイレを出ようとする矢先、今一度直腸あたりに異物感を覚えました。

経験則から感じるに、これは屁。祭りのあとに遅れてやってきたガスが湿りと熱さを帯びてここぞとばかりに顔を出そうとしていました。

どうせ臭い屁だろうが、所詮は空気。トイレの中で放屁をするのであればどれだけでも構わんだろうと私は私の関所を少し緩めたのでした。

 

ミリミリムリリュ

 

もう駄目だ。

こいつは自身をおならだと偽装してやってきた軟便だ。

私はぷるぷると震える体をゆっくりと屈め、恐る恐るパンツを下ろしながら便座へと無事着陸しました。

パンツの様子はどうか……幸いにも閉じていた尻が濁流をせき止めていたために被害は最小限で済んでいました。

しかし問題はこの尻の間。ただでさえ蒸し暑いというのに、トイレの中で脂汗を垂らしながら自身の漏れ出た軟便の処理となれば全身がベタついて容易に身動きが取れません。

滝のように流れる汗。トイレの湿った閉鎖空間。触れたくもない広範囲の汚物。

便座カバーなど若干の被害が出ましたが、しれっと新品の便座カバーに交換し、「そろそろ便座カバーも洗い時じゃない?」と言い訳を放ちながら洗濯機の横へと悪びれもなく置いていった自身の姿に糞便以上の汚さを実感したのは内緒です。

 

幸いにもシャワーを浴びる前だったので何一つとして不快な気持ちが残ることはありませんでした。

直腸あたりにいまだ若干の気配を感じており、「シャワーを浴びながら漏らすなんてことがあれば流石に人として終わりだろう」と考えながら体を綺麗に洗い流しましたが、無事この怪しい気配も腹の奥底へと再び消えていったので事なきを得ました。

 

今年の夏はとても暑い。

暑いからこそ沢山水分を取ってしまいがちですが、それによって腹を下さないようにするのも大事なことです。

体調管理というのは"対策"だけではありません。しっかりと自身の健康バランスを考えることが大切なのです。

 

 

――さて、本題に入る前の与太話だけで随分と時間を使ってしまいました。

猛暑を乗り切るために水分補給などで物理的に体を冷やすのは大事ですが、気分を冷やすのもまた大事。

今回のお話は先日私が実際に体験したちょっぴりホラーな出来事となります。

 

皆さんは定期的に爪切りしていますか?

放っておけば延々と伸び続けてくる爪。定期的にケアをしなければ清潔感が失われ、日常的にも不便になりがちな身体の部分です。

私もなるべく定期的に爪切りするように心がけているのですが、やはり意識しなければ忘れてしまうことも多々ありまして、先日なんかは「今日こそ切るぞ」と自身に言い聞かせながらも、何日もそのまま忘れてしまうことがありました。

爪を切るタイミングというのは入浴後が最適。

お風呂上がりであれば普段硬い爪も柔らかくなって切りやすくなります。

この柔らかくなったタイミングで爪切りをしたいものですが、その日もついつい他事に気持ちが移って忘れてしまいました。

「流石にそろそろ切らなければまずい」と薄々感じていましたが、結局それに気付いたのは仕事前の僅かな時間。

お風呂上がりではないので爪も硬く、そして時間もあまりない。このままこの日も慌ただしさに埋もれて爪切りを忘れてしまうだろうなと思いながら私は急いで顔を洗っていました。

そろそろ出勤時間――、若干の余裕こそありますが、結局爪切りのことを忘れて私は家を出ようとしました。

 

「何でここに爪切りが?」

 

リビングのテーブルの上、私が普段こうしてパソコンを叩いてるテーブルの上に爪切りが置かれていました。

爪切りをしようしようと考えてはいたものの、結局忘れてばかりで爪切り自体に触れることもなかったところ、普段私の小物を入れている私専用の爪切りがどういうわけか自然と目に入ってしまうテーブルの上に露骨に置かれていました。

家の中には私一人。嫁さんは既に仕事に出ていていませんし、私が爪切りをしようと考えていたことも知りません。

勿論私自身も爪切りを手にした記憶が全くなく、どう考えてもいつまでも爪を切らない私を見かねた"見えない何か"がそっと爪切りを置いていったとしか考えられませんでした。

夢のない話をすれば、私が無意識下で爪切りを用意していただけだったのかもしれません。

それでも不意を突かれた出来事として最近の私の中では凄まじく印象に残りしました。

世の中には実は目に見えていないだけで"親切にしてくれる何か"がどこかしらに存在するのかもしれません。ちょっぴり怖いですがありがたいものです。


爪切りどこやりました?

シラナイデス。


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